タイの近代化の基礎を築いたラーマ5世(チュラーロンコーン大王)の没後102年となる23日、タイ各地で偉大な大王を偲ぶ集いが開かれた。
このうち、バンコクのアナンタサマーコム宮殿(旧国会議事堂)前にあるラーマ5世騎馬像の周囲では、政府関係者らによる式典が開かれ、チャクリー改革と呼ばれる大王が残した一連の功績にあらためて賛辞が送られた。
午後からは一般参拝のために開放され、多くの市民が線香や花、果物などを手向けた。大王のシンボルカラーはピンク色とされており、これに合わせてピンク色の服を着る人の姿が目立った。
ラーマ5世は1868年、15歳で即位。即位後、直ちに行ったという欧米視察で立ち遅れたタイの現状を目の当たりにし、次々と改革を実行した。奴隷制の廃止、中央集権国家の建設、学校教育制度の導入など、その功績は日本の明治維新に相当すると言われている。このため、今なお国民の信望が厚い。
国民生活に直結するものとしては、灌漑施設の整備、鉄道網の敷設、郵便・電信電話網の普及、自動車の導入などがある。洋服などの西洋文化もこの時期、タイ社会に広まった。
幼少時代の名は「チュラーロンコーン」。このため親しみを込めて「チュラーロンコーン大王」とも呼ばれる。タイで最も歴史のある名門チュラーロンコーン大学にも、その名が残されている。