日本の米をタイで育てるアジアコシとは?
-今はどういった事業を行っていますか?
化学肥料と有機肥料を合わせた合成肥料をタイで一番最初に生産し、販売をしています。45年前から生産をしていて、肥料ブランドの名前はカイナイダーウとクーフーといいます。
もうひとつのビジネスは日本の米(コシヒカリ)をタイで育ててアジアコシ(asia koshi)として販売しています。これもタイでは私たちが初めてです。またインテリアデザインのフリーランスとしても活動しています。
–なぜ日本の米をタイで育てようと思ったのですか?
これは偶然のことです。約32年前に私の父が日本から中古の精米機を買ってきました。それを掃除しているときに、そこから日本の種籾が握りこぶし一つ分ぐらい出てきました。それを育ててみようと思ったことが始まりです。日本人の知り合いに食べてもらったところ、この米はコシヒカリだということがわかりました。
それから収穫量を順調に増やし、その当時タイにある最大のデパートであるDAIMARUで販売をしていました。
–32年前からずっと日本の米を育てて販売しているのですか?
ずっと販売していたわけではありません。32年前、私たちが日本の米を育てることができたのを見て、他の人たちは真似をしてコシヒカリより安い日本の米を輸入して育てて販売することを初めました。価格競争になりどんどん値段は安くなりました。
その結果、一時的に販売を中止しました。しかし、販売を止めた後もコシヒカリの開発はずっと続けていました。
–asia koshiの特徴とは?
私たちはタイで最初に育てることに成功したので米を育てることに関してのノウハウを持っています。また、100%無農薬です。消費者の健康を第一優先にしています。
販売を再開するまでの間、どうやったら無農薬でおいしい米を育てることができるのかをずっと調べていました。現在も、私たちは昔から行っている栽培方法を続けています。それは農薬を使わず、アヒルを飼うことで米の天敵である害虫や貝を除去するというものです。殺虫剤を使わなくてもいいので人体に影響はありません。
田んぼはナコーンシータマラート県の王様が行っている一つの王室プロジェクトに指定されている場所にあります。
–社員のマネジメントについて教えてください。
私の会社は、昔からいる社員の子供や家族が働いています。意見があれば積極的に発言できる自由な環境で、問題が起こった場合は自分自身が考えて行動し解決に向かうように指導しています。
–今後の目標は何ですか?
私個人は特にはないです。米を買ってくれるお客様がそれを食べて幸せになってくれることで私も幸せを感じます。これからも米をどんどん改良して、みんながどんどんアジアコシ(asia koshi)を好きになって、タイで日本の米といったらアジアコシ(asia koshi)と思い浮かべることができるようにしたいです。
–最後にこの記事を読んでくれた人にメッセージをください。
簡単に諦めることをしないでほしいです。自分自身、津波の災害や洪水など自分ではコントロールできないことで打撃を受けました。その事実をしっかりと受け止め、ネガティブにならず次に何をすればいいのかを考え再スタートしました。みなさんもつらい事があっても笑顔で前向きにいきましょう。
名前: アピシット タンサクン/Apisit Tunsakul
会社名: Asia FLR Group
役職: Managing Director
言語: 日本語、タイ語、英語
業務: 卸売・小売
1973年生まれ。バンコク出身。高校卒業後タイの日本学校で2年間日本語の勉強をする。そして、日本人の受験生と全く同じ試験を受けて合格し亜細亜大学に入学。在学中は学業優秀だったため奨学金を日本政府と民間企業からもらっていた。大学卒業後にイギリスに渡り美術専門学校に入学。その後インテリアデザインを学ぶためにスコットランドの専門学校に入学。卒業後タイに帰国し、インテリアデザインで有名なコンサック ユクタセーウィーが経営しているLeo International Design Group Co.,Ltd.に入社し、2年働いた。退職後、最初は家族が経営しているリゾートビジネスに協力していたが、津波の影響により事業は縮小してしまった。現在は日本の米(コシヒカリ)をタイで育てており、asia koshiとしてSiam ParagonとO・LEAFというオーガニックストアでのみ販売している。