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バンナー交差点で行われたデモ集会

タイ王国としてのプライドをかけた次世代のデモ

素直な国民感情と国を憂う気持ち

国民の要求は革命ではなく改革

タイ国内で起きている大規模な反政府デモ。各地で開かれる反政府集会に終息の気配はなく、むしろ悪化の一途。反政府デモに参加する国民の訴えは大きく分けて3つだ。

1つ目は、軍政を引き継いだ現政権の退陣。2つ目は国民の自由。3つ目は政権が持つ強権発動を可能とする憲法改正と不敬罪の撤廃及び王室財産管理見直し。

ここで間違えないでほしい。日系メディアが流す「学生による反政府デモ」ではない。実際は老若男女の幅広い年齢層が参加している。参加者に耳を傾けると、デモ隊が求めているのは、歴史を覆す革命ではなく、あくまで改革を迫っているに過ぎない。つまりは、政治の進め方を皆で修正・改善しようというもの。

ラチャプラソン交差点のデモ集会/2020年10月15日

反政府デモが拡大した理由

今回のデモは、2014年に発生した軍事クーデターが発端。当時、指揮をとった陸軍総司令官プラユット現首相はクーデター後に暫定政府を発足。その後、国民が求める形で民主化に向けた総選挙が2019年に行われたが、反軍政派は過半数に届かず、暫定首相だったプラユット現首相の続投が決まった。だが、反政府派はこの選挙自体が信憑性がないとし、無効を訴えていた。

総選挙では若年層に圧倒的な支持を受けた若いメンバーで構成された新政党(新未来党)も生まれ、将来のタイを担うと目されたが、選挙後の現政権により解党を命ぜられた。この時の解党理由が、正当性を欠いているとして、タイの若者の間で政府に対する不信が募り、そのうねりが今回の大規模な反政府運動へと発展したという。

軍事クーデター直前の当時のアソーク通り/2014年1月28日

多様化によるジェネレーションギャップ

バンコクのみならずタイ全土に広がる反政府デモ。根底には利権を取り合い、繰り返されてきた旧政治体制に嫌気を差した一般大衆による世直しではないだろうか。大衆にまで普及したインターネットやソーシャルメディアの浸透により、80-90年代にあったマスメディア(主にテレビや新聞)を活用した統制やプロパガンダが崩壊。国民コントロールの舵を切れなくなったことを受け入れることのできない上流階級層が過去に倣い、強権政治を続けた結果が今の状況を招いたのだろう。

タイでは国のトップが「死」という言葉を公然と使い、押し付けようとする。また、メディアには警告や権利剥奪をチラつかせて情報統制を受け入れろと暗に命令すらしているようだ。実際に世界的に有名な署名サイトChange.orgもタイ政府によって現在はアクセスが出来ない状況。

Facebookのライブ配信でデモ隊の最前線を取材していたネットメディアも政府から警告を受け、リアルタイム情報として活用していたTwitterも政府の検閲を受けていることから、セキュリティ性重視のTelegram(テレグラム)に切り替える動きもみせている。

大半のデモ隊が持ってるスマートフォン/10月18日

仏教国という共同体意識

すでに、反政府デモで数名の負傷者がでている。そんな中、注目されていたのが衝突があることを懸念して人命救助を買って出た勇敢な医師の姿だった。

眼科医師のトッサポーン博士はデモ隊と警察が衝突した際に催涙剤を混ぜた放水を受け負傷したデモメンバーの治療に協力したが、その夜にデモグループを援護したという容疑で当局によって逮捕された。しかし、その直後から民衆は、#save〇〇という海外では救済を求めるときに使われるハッシュタグを活用して全力で見守っていた。

これこそ、共同体意識が強い仏教国タイの本質である。

過去のクーデターとは異なる状況

タイ王国はこれまで16回のクーデターを繰り返しながらも経済発展を遂げた世界的に希有な国。国会議員の癒着問題など腐敗する政治のなかでも先人は国の存亡をかけ国王とともに歩んできた。しかし、今回の反政府デモはこれまでの状態とは少し異なる。

それは国民と同じ目線でどんな時も希望の金の光を放っていた尊敬し崇拝すべき地位の存在が不透明になっていること。16回のクーデターを繰り返してきたタイの歴史で初めての動きではないだろうか。これこそ、若年層を中心の大衆が起こした初の改革の火種になっているのかもしれない。

多くの歴史家は「またデモか」と思うかもしれないが、今回のうねりは単に権利を得るための運動ではない。素直な国民感情が引き起こした、国を憂う気持ちの現れではないだろうか。

source:Khaosod,TheNation,@SAHINOP

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