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チョンブリーFCを支える「六人の侍」3/加藤光男(アシスタントコーチ)

チョンブリーFCを支える「六人の侍」3/加藤光男(アシスタントコーチ)

“日本流”でタイサッカーを変える!チョンブリーFCを支える「六人の侍」

近年、日本での注目度も高まりつつあるサッカーのタイリーグ。今シーズンも40人近い日本人選手が同リーグでプレーしたが、とりわけ“日本流”を掲げて戦う注目のクラブがある。タイリーグを代表する名門の一つ、チョンブリーFCだ。

選手のみならずコーチ、スタッフらも多くを日本人で固めるという、世界でも他に例を見ない同クラブの挑戦に迫る――。連載第3回は、アシスタントコーチ・加藤光男。

父の姿を見て育った少年時代

「もともと生まれた時から父親がサッカー選手だったので、小さい時からサッカーはやってきました。一度はサラリーマンをやったんですが、やっぱりサッカーが頭から離れなかった。いずれはコーチの道に進みたいな、と思っていましたね」

チョンブリーFCのアシスタントコーチを務める加藤光男。彼の言う「父親」とは、同じく現在は同クラブでGKコーチを務める加藤好男だ。

Jリーグ創成期には選手としてピッチに立ち、その後も指導者として日本サッカー界の最前線を走り続ける父の姿を見て加藤は育った。

大手企業を退職、サッカーの道へ

大学卒業後、一度は大手不動産会社に就職。地元のクラブチームで指導をするなどサッカーとのつながりも持ち続けていたが、くすぶっている「サッカーへの思い」があることをごまかせなかった。

会社の人事異動のタイミングを機に、意を決して退社。その際には「親と大喧嘩」をすることとなったが、それでもサッカーの道を歩むことを選んだ。

そして2012年、転機が訪れる。試合へ向けた分析を行う“日本流”のスカウティングを取り入れるための人材を探していたチョンブリーFC監督・ヴィタヤの誘いを受け、加藤は海を渡ることになった。

アシスタントコーチを務める加藤光男氏
アシスタントコーチを務める加藤光男氏

“日本流”のスカウティングをタイに

「自分は父のように選手としての実績があるわけでもないですし、人と違うことをしなければいけない。それもあって、海外に行きたいという気持ちはもともとあったんです」

コーチの勉強のため訪れたイングランドで感じた日本人の弱みも、海外志向を強めさせた。

「どの国の人も英語でコミュニケーションが取れるのに、日本人は全然ダメ。これだけ選手も海外へ出ている時代ですし、コーチも行かなければと強く感じました」

念願叶って辿りついた異国の地、タイ。チョンブリーFCでの加藤の役割は、コーチ業とともに試合に向けたスカウティング活動が主なものだ。

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日本では当たり前である映像を使っての自チームや相手チームの分析も、タイではまだ一般的に行われてはいない“日本流”だった。

海を渡って芽生えた夢

異なる環境の中で2シーズンを過ごし、異国ならではの新たなサッカー観も感じ取ることができた。すると、「日本」という存在も自ずと浮き立ってきた。

「日本人のいい面、悪い面を改めて外から見ることができました。そういうものを改めて整理して、強みにして、いずれは日本の大学などで監督がしたい。海外に出ると日本人のパーソナリティ、アイデンティティみたいなものがやっぱり強くなってきますから、国を代表して戦いたいという気持ちも出てきましたね」

選手としての実績の有無に関わらず、海外を見た指導者が日本へ戻り、そこで担う役割は今後ますます大きなものとなるに違いない。チョンブリーFCから逆輸入されたサムライが、日本サッカーのさらなる発展の一助となる日もいつか必ず来ることだろう。

<第4回/白木庸平(トレーナー)につづく>

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