「鏡」の本質は現象である。現象があらわれる物質であり、伊勢神宮のヤタノカガミ、メッカの黒曜石など、宗教的にも重要なシンボルになっている「鏡」。
そんな鏡をモチーフにして独自の光の世界を出現させているのが「KALA」(カラ)。サンスクリット語で「時間」「芸術」という意味にあたる。
鏡面世界「KALA」をつくる日本人”AKO MIKI”
意識というのは一体どこから発するのか?太古の人は、水面に映る自身を見て目覚め、意識というものを見いだした。それゆえに鏡は神聖なもとして、あるいは意識の象徴として、大切にあつかわれてきた。いわば、現代の人間にとっても鏡は生活のなかに深く根をおろした必需品である。
鏡という象徴的な素材を、手作業を通して丁寧に仕上げていくのが、「KALA」のミラーアートの魅力。
球体のモザイクや、西インドの旅で習得した鏡刺繍など、様々なスタイルの作品を展開させている。
KALAの作品を手がけるアーティスト「Ako Miki」は京都生まれ。現代美術家の父親からDIY精神を学び、地元京都の美術教育とローカル音楽シーンの恩恵を受けて育った。2001年オーストラリアとバリ島に滞在したことを機に、新しい価値観と活動拠点を求めてアジア各国を旅する。異国の環境下で自立しつつ着地していく体験を通して、自身の理想的クリエイションと生活のバランスを模索。今年の2月、タイ北部チェンマイのドイステープ山麓にアトリエを構えた。
音楽の現場から生まれたミラーワールド
“子供の頃から音楽の現場が好きでした。鏡という素材を使うようになったのも、身近な音楽シーンでの体験やその周辺の世界を通して得たインスピレーションによるところが大きいです。”
本人が言うように、KALAが創りだす領域はミラーワーク作品だけにとどまらない。90年代半ばよりDJやナビゲーターとしも活動し、培われた感覚をフィードバックさせ各地に独自の宇宙を出現させ続けている。
沖縄の野外パーティMessage Of LoveにDJやアートワークで参加しているほか、自身がレジデントをつとめるパーティー「ANIMA」では、大阪とバンコクシーンの交流としてゲストにmasa niwayama とDJ56、ALTZ、QOTAROOを招いた。DJ YA△MAとのUstream番組「魔法の絨毯」や、Galaxy GalleryではVJ Colo Graphonicaとのマッピングインスタレーションも記憶に新しい。
AKO MIKI曰く、「小さな作品は個人的な広がり、大きい作品は遠隔で活動するための機会をつくる。」という。反射から生まれる光の世界・ミラーワークの探求を続けるKALA、さらに広がり輝く今後のアート活動に注目してほしい。
プロフィール;AKO MIKI
京都生まれ。京都市立芸術大学 構想設計専攻卒業。旅を続けながら鏡の作品を制作している。時にDJ活動も展開ー現在チェンマイ在住KALA – Facebook Fanpage
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