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タイリーグでプレーする日本人選手達の目標

タイリーグでプレーする日本人選手達の目標

2020年1月29日、大雨が降りしきり、綺麗に手入れされた芝生のピッチに水溜まりが出来た東京スタジアムで、日本ではプロになることさえできなかった一人の選手がAFCアジアチャンピオンズリーグプレーオフという大舞台でJ1屈指の強豪クラブであるFC東京相手に戦っていた。アジアNo.1を決める大会。

相手には室屋成、森重真人、林彰洋など日本代表メンバーが名を連ねる。この試合に勝利したチームが本戦出場という一発勝負の大一番だ。この試合にフィリピン王者のセレス・ネグロスFCの一員として出場したのが嶺岸光だ。

東京スタジアムに入場する嶺岸光(背番号29)/引用:Ceres Negros FC fb

嶺岸光選手とは?

宮城県出身の嶺岸は仙台大学を卒業後、母親の母国であるフィリピンのクラブ、グローバルFCでプロキャリアをスタートさせた。2016シーズンにはリーグ得点王に輝く活躍を見せた嶺岸は、そこでの活躍が高く評価されフィリピン代表に選出、その後、東南アジア屈指のリーグとして知られるタイリーグ1部のパタヤ・ユナイテッドに移籍を果たす。

FC東京戦に臨むセレス・ネグロスFC/引用:Ceres Negros FC fb

しかし、世界中から屈強な外国人選手が集まるタイリーグではプレースタイルやチームから求められることの違いもあり思ったようなパフォーマンスを出すことができずに苦しんだ。

出場機会は減り、2019シーズンにはタイリーグ2部のJLチェンマイへ移籍、そこでも思ったような結果を残すことができず、2020シーズンに母国であるフィリピンのセレス・ネグロスFCからオファーを受け、フィリピンリーグへと戻る決断をした。

タイリーグ1部、パタヤ・ユナイテッドに所属していた嶺岸光/引用:Pattaya United fb

多くの選手が持つ共通の目標”凱旋”

アジア各国のリーグの中でも最も多くの日本人選手がプレーするタイリーグ。そこには様々な思いや目標を持った選手が存在する。Jリーグクラブでの契約が無くなりタイリーグでプロとして活路を見出そうとする選手、日本でプロになれなかった選手がプロになるためにタイに来るケース、ヨーロッパでプレーしていた選手が選手としての価値を高める為にタイのマーケットでの活躍を目指すケースなど。選手が持つバックグラウンドや、タイでプレーする理由は選手それぞれだが、多くの選手が持つ共通の目標がある。

それが日本への凱旋だ。Jリーグクラブへの移籍かもしれないし、国際試合でJリーグクラブと対戦することかもしれない。日本から離れた地で自分の志を想い孤独と戦いながらプレーを続ける選手達。自分が成長した姿をこれまで世話になった監督やコーチ、仲間や家族、友人に見てもらいたい、そう思う気持ちは共通の物だ。

サポーターと触れ合う嶺岸光/引用:Pattaya United fb

そして今回、嶺岸光は紆余曲折を経て、タイで、アジアでプレーする多くの日本人選手が持つ目標となる舞台に立った。日本でプロになれずに大学を卒業した選手が、フィリピンの地でプロとして脚光を浴び、母国の代表に選出され、アジア屈指のリーグタイリーグを経験し、AFCアジアチャンピオンズリーグというアジアNo.1を決める大会でJリーグクラブと対戦する。

この試合で嶺岸擁するセレス・ネグロスFCは惜しくも敗れはしたが、この試合はタイでプレーする多くの日本人選手にとって大きな意味を持った試合だった。もしかしたら、この試合で活躍すればJリーグクラブへ移籍できたかもしれない。そして、移籍後にJリーグで活躍すれば日本代表に入れたかもしれない。

それを実現する選手が、今後、この試合を観ていた選手から出てくることがあるかもしれない。大雨が降り注ぐ東京スタジアムのピッチで日本代表選手達を相手に果敢にプレーする嶺岸の姿はそんな可能性を感じさせた。

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