海外子会社のマネジメント支援に励む広告会社勤務、宮田妙さん

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震災がきっかけ。「いつ何があるのか分からない」

濁流が人や車を飲み込む映像に釘付けだった。2011年3月11日の東日本大震災。一人一人の尊い命が、まるでアリのように流されていくさまを見て、大自然を前にした人間の無力さをを感じずにはいられなかった。

一瞬の出来事に襲われ、人生がすっかり変わってしまった多くの人達を見て、「人間、いつ何があるのか分からない」。そんな思いが脳裏を強くよぎった。「出来るうちに、やりたいことをしておきたい」。自然と、そう思うようになった。

当時勤めていたアメリカ系の医療機器会社を退社したのは、それから間もなく。勤めたのは5年間。経理や企画の仕事に何の不満もなかったが、いてもたってもいられなかった。

不思議と不安や心配はなかった

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とりあえず山梨の実家に戻り、その後の人生を考えた。今にして思えば、良い「充電期間」となった。真っ先に思い立ったのは、海外旅行。とにかく見聞を広めたかった。

もともとの海外志向もあって、海を渡ることへの抵抗はなかった。アメリカから東南アジアを経由、タイに渡ったのは自然な流れ。直感的に、「ここ、いいかも!住みやすそう!」と感じた。

それから先は早かった。タイに渡ったのは、昨年2012年3月。仕事のあてもない中での単身渡航だったが、不思議と不安や心配はなかった。

個性豊かな同僚に仲間

日本と違って経済が好転しているタイ。就職活動も大きな苦労はなかった。2週間あまりの間に10社の面接試験に挑み、5社から内定をもらった。

金融関係やメーカー、商社など。その中から現在、勤務する日系広告会社を選んだ。「タイに来たのも大冒険。この際だから、面白そうなところにしてみようかと思って…」

タイのほか、ベトナム、インドネシア、マレーシア、カンボジア等の海外子会社等をマネジメントするのが主な仕事。「堅い会社」というイメージをよく持たれるが、社員は国際色豊か、さまざまな個性を持った仲間たちが集まっている。

「タイに来て、仕事をし、子育てをしてみませんか」

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女性が「男性社会」で働き続けることは大変だ。日本にいるころ、とにかく「男まさり」でいなければならなかった。でも、タイは違う。ごく自然体でいることができる。つい先日も、出産で休暇を取った同僚が1ヵ月で復帰。何もなかったかのように机を並べて仕事を続けている。

小さいことと言われるかもしれないけど、これがとても大事。日本では母親が育児に忙殺され、お金はかかり、保育園にすら待たないと入れてもらえない。社会全体で子供を育てるという発想が、残念だけど足りないように思う。

だから、日本にいる友達に仲間に、声を大きくして言ってみたい。「タイに来て、仕事をし、子育てをしてみませんか」と。少なくとも自分自身はそう思っているし、そう感じている。

タイには当分いるつもり。実はもう一つ、チャレンジしてみたいことがある。ピアノ歴20年、大のオペラ好き。いつかバンコクの劇場で、オペラをプロデュースしてみたい。それが私の夢――。

タイで在留届を提出済の日本人は最新の2012年統計で約5万人。企業などの駐在員や永住者、その家族などが多くを占め、滞在する男性の多くが仕事を持って暮らしている。女性についてはビザの関係から就労が難しいと一般的に理解されているが、実は「働く」女性は決して少なくない。新企画「タイで働く女性たち」では、タイで仕事やボランティア活動などに就き、活躍する女性たちを追う。

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