サワディーカップ!薬局小僧のいいだです。
さてさて!やって参りましたインド連載最終回【インドの薬ってどうなの?】
皆さんはインドの薬に対してどんな印象をお持ちですか?多くの方が”汚い、危ない、ニセ薬、強い”などといった印象をお持ちではありませんか。しかし、待ってください皆さん!これらの薬を日常的に使っている人々がいることを忘れていませんか。
後発医薬品=ジェネリック医薬品という名前を聞いたことはありますか?特許が切れた医薬品を他の製薬会社が製造または供給する医薬品のことを言い、医療費抑制の目的から欧米諸国では当たり前のように使用されています。残念ながら日本では、まだジェネリック医薬品への信頼が低く、全体の流通量の2割程度に止まっています。
あまり知られてはいませんが、“開発途上国の薬局”とされるインドは、世界のジェネリック医薬品の最大の供給地。インド政府はこれまで、国民の健康を維持するものとして国外の医薬品であろうとも、医薬品を特許の対象とすることを許してきませんでした。このため、世界のジェネリック医薬品を求める需要がインドに殺到。ジェネリック医薬品の製造技術が飛躍的に伸びたという歴史を持っています。
ジェネリック医薬品を製造出来ない世界の製薬会社の代わりにインド国内で合法的に作る。そんな背景があるからこそ、インドのジェネリック製造技術は発達してきたのであり、インドの方々が勝手に「ニセ薬」を作っていると思ったら大きな間違いなのです。
小僧は今回の旅で、世界の製薬市場から「ニセ薬」という烙印を押されるインドの製薬会社は、実は国の法律に則り合理的に企業経営を行なっているという事実を目の当たりにしました。
ただ、残念なことに、こうした医薬品を特許の対象外としてきたインド政府の施策も、世界の知的財産権保護を求める圧力に押され2005年に見直しとなりました。今では、他国並みに医薬品にも特許が適用されています。
さて、もう一つ。今回、インドに行ってみて関心したことに、薬価が設定されていたという事実を挙げることができます。
何を当たり前のこと、と思われるかもしれません。実はタイでは、薬価が厳密に設定されておらず、購入する薬局によって薬の値段が違います。すると何が起こるか、隣の薬局で買ったものが場所が違うと価格が2倍するなんてザラ。日本人価格を設定している薬局も知っておりますし。まぁ、あまり大き声では言えないのですが。。。。
そんなわけで今回の調査で、小僧のインド市場にタイする認識は、「怪しいニセ薬の無法地帯」から「統制されている医薬品市場」へと変わったのでした。むしろ、「タイよりしっかりしているのでは?」と思うこともザラ。
こういうことがあるから、人から聞いた情報だけを鵜呑みにして判断することは禁物で、自分の目で見た情報こそが重要なんだなと勉強させられる旅となりました。今後とも新しい国に行くたびに、こんな連載ができたらいいなと思っています。
では本日はここまで。チョークディーカップ。(3話連載完)