日本漫画やアニメーションに触発され、絵画の道を選んだタイ人の水彩画家「AnimaToey(トーイ)」。先日バンコクで開催された展示会「Sawara town & 7city01」の会場にて、ANNGLEのタイチームがToeyさん本人にインタビュー。これまでの活動などについて話しを伺いました。
タイ人水彩画家「AnimaToey(トーイ)」とは?

ANNGLE TH
はじめまして。こんにちは。
こんにちは。はじめまして。

AnimaToey

ANNGLE TH
それではまず自己紹介をお願いします。
こんにちは。Toey(トーイ)です。「AnimaToey Watercolor 」というフェースブックページを運営しています。現在の仕事は水彩画制作をメインに描き方を教えたり、アートブックを出版したり、自作の水彩画を利用した商品を製作して活動しています。

AnimaToey

ANNGLE TH
水彩画のお仕事を始める前に、アニメーターをしていらっしゃったと聞いていますが、少しお話聞かせてもらえませんか?
私は子供の時から日本のアニメを見ていました。ドラえもんとか、ドラゴンボール、90年代のアニメでした。そして、大学時代ではスタジオジブリの作品に出合いました。とくに「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」、そして「平成狸合戦ぽんぽこ」の中では、動物や自然のシーンが多く、ランドスケープ学科で勉強していた私にとってはとても衝撃的でした。なので、私の初期の作品はジブリの影響がありました。でも、アニメーション制作に興味を持ったきっかけはCartoon Networkでした。日本のアニメは繊細なタッチで描かれていて一人で作ることはできないと思ったのですが、Cartoon Networkのような作品なら一人でアニメーションを作ることができる規模と思いました。まとめていうと、私の原点は日本のアニメですが、アニメーションの仕事に改めて惚れなおしたのはCartoon Networkのアニメーション作品でした。

AnimaToey

ANNGLE TH
素敵ですね!ANNGLEも同じ時代のアニメを見てきて成長してました。どうしてそこから水彩画の画家になろうと思ったんですか?
学生時代の話に戻ります。当時私は建築学専攻で大学に通っていたんですが、個人的に水彩画に興味がありました。いつか水彩画の絵を描きたいと思ってました。また、その時もちょうどアニメーションを作ることの楽しさも知り始めたごろでした。なので、卒業してからアニメーターになりました。でも、アニメーターをやっているとストーリー上の問題から自分がやりたい表現方法ができないため、自分が描きたいようにできる水彩画の道を選びました。

AnimaToey
忘れられない京都の展示会

ANNGLE TH
続いてトーイさんの絵について、お話しできればと思います。佐原の前に、京都で展示会をされたと聞いていますが、きっかけはどんなことだったんですか?
京都の展示会の時は「叶えたいことはできるだけたくさんの人に言えば、現実になる可能性が高くなる。自分の話を聞いてくれる相手の中で希望を叶えてくれる人がいるかもしれない」という言葉を信じていますのでやってみました。色んな人にアプローチする中、当時京都に留学中だった友達が協力してくれました。彼女は地域社会活動をしているあるおじさんを紹介してくれました。このおじさんは世界一周したことがありまして、海外で保存状態が良い旧市街を見て、自分の町もそうしたいと決めました。このエンジニアのおじさんの一人の力から始まった動きでした。京都の姉小路通りで定期的に開催している展示会で自分の絵の展示を誘われました。大きい規模の展示会ではなかったのですが、その地域は観光地にならないように文化と歴史的景観が保存している点を評価されて受賞したそうです。

AnimaToey

ANNGLE TH
その展示会でトーイさんの作品を買った日本人がいたと聞いていますが、最初に売れた絵はどういった作品だったんですか?
最初に売れたのは「彩雲堂」の絵で、日本の古筆屋さんなのですが、私はその絵が大好きでした。実は店主はおじさんですが、私がお店を訪ねて絵を描いた日は、娘さんが丁度来ていて、代わりに店主の席に座ってモデルになってくれました。店主のおじさんは私の絵を買ってくれて、お店に飾っていました。おじさんの娘は嫁に行ってしまいましたが、この絵には店内に娘が描かれており、娘がずっとそばにいる気持ちになれる。この絵が好きだ、と言ってくれました。

AnimaToey

ANNGLE TH
とても感動的な話ですね。他に印象に残っていることはありますか?
そうですね。他に印象に残ったのは、一般の人たちが見に来ていると思っていたのですが、来場者の皆さんは美術の知識が非常に高く、現役の画家が多かったことに驚きました。そういう人たちとのコミュニケーションも楽しくて本当に忘れられない出来事です。

AnimaToey
佐原の魅力を伝えるためのミッション

ANNGLE TH
京都の展示会が無事終了し、次に佐原のプロジェクトが始まりましたね。今回のプロジェクトのきっかけはなんですか?
きっかけは…冗談から始まったんです(笑)。私の知り合いが「Wonder Sawara」というフェースブックページをやっていて、私はたまたま佐原の写真を見ていいなと思い「この写真をつかって絵を描いてもいい?」と尋ねると、その知り合いは「もし良かったら、ここで展示会をしてみませんか」と言ってきたのです。私は京都で展示会をした経験があり、ポートフォリオとしてプレゼンすることが出来たので、佐原で展示する機会を与えてくれました。

AnimaToey
www.facebook.com/wonder.sawara/

ANNGLE TH
今回の佐原のプロジェクトでは、トーイさんはどのようなお仕事をされたんですか?
基本的には現地へ行って写真を撮り、その写真を参考に絵をのちほど描きますが、当プロジェクトの最初の3枚は市役所の写真コンクールの物をお願いして使わせてもらいました。その後は自分で撮った写真でした。

AnimaToey

ANNGLE TH
トーイさんはどのような場所や風景が好きですか?どのような基準で、場所素材を選びましたか?
参考にする8枚の中でどの景色どの場所を描いたらもっとたくさんの人に町を知られてもらえるか考えました。どれもきれいな写真で悩みましたが、最終的に人気スポットを選びました。大体町並みとお祭りをプレゼンしようと思いましたね。ここは山車の祭りで有名なのですが、私は提灯を描くのが好きなので、提灯に絞って選びました。結局その絵は皆さんが非常に気に入ってくれました。

AnimaToey

ANNGLE TH
ほかの市の絵もあるんですね。この展示会に展示されているほかの市の絵は後で描いたのでしょうか?
はい。その通りです。佐原のプロジェクトが終えた後、佐原周辺の7市「北総地区」まで広げました。これまで経験したことのない規模の挑戦でしたがとても楽しかったです。実は絵を描いていると面白くない時もありました。でも、プロジェクトを終えて考えてみると、考えたこともない充実感を感じることができました。どこか自分の新しい道が開いた気がしていて、以外と楽しいと感じることもあります。

AnimaToey
日本への関心が止まらないトーイさんの夢

ANNGLE TH
最近のプロジェクトを通じて、トーイさんが嬉しく感じたところは?
最初は自分の存在感や世界における知名度を高めたいという気持ちで、日本で展示したかったのです。私が初期に出版した画集は私が好きな場所から選んで描いた作品になりましたが、日本について絵を描いたら、意外と楽しかったです。そして、リアルな物を描きたくなりました。今までは私はただ写真を撮って絵にしただけなので、ストーリーがないという感じでしたが、誰かに役に立て、描く意味があったり、描いている絵について深く知ったりして、絵を描くことをもっと楽しめました。

AnimaToey

ANNGLE TH
トーイさんにとっての日本風景の魅力ってどんなところですか?
木製の建物とか、ドラえもんに出てくる日本の昔ながらの家とか、昭和時代の家等が魅力的だと思います。京都の場合はお寺がたくさんあります。主に私は古い町並みや建物で感動に感動させられました。日本人にとっては普通に見える物なのですが、私にとっては独特で好きです。

AnimaToey

ANNGLE TH
今後で描きたい日本の場所とかありますか?
私は日本全国の古い町並みに行って絵を描くという夢があります。佐原のプロジェクトは、私の夢を叶えてくれたような経験でした。また、自然と日本伝統的な提灯、お祭りの絵を描く興味もあります。今回佐原を描いたプロジェクトは、佐原の夏祭りに参加せずに描き終わってしまったことを、市役所の担当の人たちにもからかわれています。(笑)

AnimaToey

ANNGLE TH
トーイさんは日本人と働くことに、どういう感想を持っていますでしょうか?
私の中の日本人のイメージは、仕事が完璧にできるというものでしたが、実はタイ人みたいにずれる時もあったりしました。でも、仕事で会ってきたほとんどの方は真面目で、待ち合わせする時も時間厳守をして、仕事をよくしていました。佐原は以前、東日本大震災で被害を受けましたが、修復されました。だから、日本の古い建物が残っているのは、地元のことを考える地元の人々や建物の所有者の支えなければできないものでした。私はそこから彼らの地元に対する愛情を感じることができました。

AnimaToey
トーイさんから皆さんへのメッセージ

ANNGLE TH
最後にインタビューを読んでいるタイ人と日本人の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
はい。まずはタイ人のファンの皆さんへ。機会がありましたら、私が今回描いた佐原に遊びに行ってください。そして時間があれば、私が描いた周りの7市町にも行ってみてください。とくに関東三大祭りである佐原の大祭は一度見て欲しい。佐原は江戸時代から利根川舟運により繁栄し、江戸優りと呼ばれる独自の文化を発展させました。皆さんが行ったら必ずこの祭りは楽しいと感じると思います。それは保証します。私は行ったことがないですが(笑)。

AnimaToey

ANNGLE TH
続いて日本人の皆さんにもメッセージをお願いいたします。
はい。今の私がいるのは日本文化やアニメのおかげです。やっぱり日本が大好きです!日本を訪ねるのは私の夢で、今は日本に行けて日本風景を描くという最高の機会をいただきました。これからも水彩画を中心に様々な日本文化についての作品を描きたいと思っておりますので、タイや世界に広めてほしい古い建物がありましたらぜひ私まで連絡ください!

AnimaToey

ANNGLE TH
今後も新たな作品を楽しみにしています!今回はインタビューさせていただき本当にありがとうございました。トーイさんの作品をもっと見てみたい!応援したいという方は、フェースブックページ「AnimaToey Watercolor」を確認してみてくださいね。
AnimaToey Watercolor
www.facebook.com/animatoeywatercolor/