8月5日から9日までの4日間、高校サッカー界の強豪・前橋育英高(群馬)が来タイ、タイの同年代の強豪チームやプロクラブとの親善試合を3試合行った。今回は昨年末に行われた「横山杯 第13回全国ユース招待サッカー大会」の優勝チームとしてのタイ遠征という初めての試みで、サッカーやフットサルチームのタイ遠征をコーディネートするLFC (LaLaClasico Football Consulting)がサポートする形で行われた。
タイならでは、ハイレベルな黒人選手との対戦
5日夜に来タイした前橋育英高は、6日にタイのU-18年代を代表する強豪であるバンコク・クリスチャンカレッジU-18と、タイリーグ・ディビジョン2(3部リーグ)所属のクルントンブリーFC、7日には同じくディビジョン2所属のフテラ・シーカーFCと対戦。対戦成績は試合順に7-4、4-2、2-3というスコアで、前橋育英高の2勝1敗という結果だった。
前橋育英高は同時期に開催されていたインターハイにも出場していたため、今回来タイしたメンバーはセカンドチーム。しかしながら、驚くことにセカンドチームながらそのインターハイで全国優勝を果たした市立船橋高(千葉)のトップチームを横山杯決勝で下したというだけあって、プロクラブにも引けを取らないハイレベルなサッカーを見せていた。
それでも最終戦、前半はベストメンバーをぶつけてきたフテラ・シーカーFCに対しては前半だけで0-3と苦戦。前線にはハイレベルなアフリカ系黒人選手を揃えるプロならではの力に、前橋育英高を率いた北村仁コーチもこう感想を口にした。「強かったですね。特に前線の外国人選手は素晴らしかった。なかなか日本では、あのレベルの外国人と対戦する機会はありませんから、いい経験になったと思います」。
プロからのオファー、高まる「タイ遠征」の需要
また、プロクラブとの2試合を通じて、やや想定外ともいえる出来事も起きた。前橋育英高のある選手に対して2クラブがともに興味を示し、1クラブからは口頭ながら来季の獲得を希望する旨が伝えられた。これも今、40名近くの日本人選手が当たり前のようにプレーするタイならではの出来事と言えるかもしれない。
サッカーの本場・ヨーロッパや南米は距離や費用の問題、近場の韓国や中国は国家間の情勢面に不安を抱える中、サッカーチームの遠征先としても急速に脚光を浴び始めているタイ。
日本からの距離や費用が適度な上に施設などの環境面も整いつつあり、さらには日本ではなかなか対戦する機会のないハイレベルな外国人選手を擁するプロクラブともマッチメイク可能となれば、今後、ますます「タイ遠征」の需要が高まることは間違いないだろう。