北海道の仲間たちと一緒にタイで何かを実現したいという思いはずっと心のどこかにあったのだが、結局3年も待つことになった。だがそれは4月下旬、札幌在住のダンスミュージックのプロデューサーNaohito Uchiyamaのバンコクツアーという最高の形で実現した。
初日のQ Bar、オーディエンスは彼のことを知らない人ばかり。だけど場の熱量を保ったまま、絶妙にグルーブをキープし続けるNaohito Uchiyama。今回のツアーの成功を予感させる、良い始まり方だった。
最終日は、自分が同じく北海道出身のDJであるmAsa niwayamaと共に続けてきた「GIANT SWING」というパーティーの2周年。VJの4460(よしろう)、札幌でSYNAPSEというレーベルを主宰する吉田龍太もいる。それにフライヤーのデザインを手掛けたQOTAROOも大阪から駆けつけてくれた。
バンコクでいちばん「ダンスフロアらしいダンスフロア」を持つこのパーティーで、北海道出身の3人が、踊り続ける人々の足を止めることなく、音楽を紡いでいった。
いや、北海道ということはすでに関係なかった。そこにいた知ってる顔の数々は、まるでファミリーのように安心させてくれたから。これは小さなパーティーかもしれないけど、確実にバンコクの風景を変えたんだと思う。
そんな充実したツアーの様子は、同じく札幌から来た高張直樹が記録し、映像にまとめてくれた。それはたぶんみんなの知らないバンコクのシーンで、だからといって札幌でもないし、他のどこにもないものだ。音楽を媒介として、距離を越えて、今まで存在しなかったような空間を作り出すことができる。それが今後どうなっていくかは誰にもわからないけれど、可能性は無限に広がっている。