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日系美容室で店長として店を切り盛りする桑原ももさん

「タイのこと、何も知りませんでした」

美容師としてタイに渡ったのは2009年12月のこと。1年ほど前、勤務する美容室「C2」でタイ出店話が出たとき、我を先にと手を挙げた。「ほとんど、軽いノリだったんですけど」と笑う。

でも、タイのことはほとんど何も知らなかった。「街の中をゾウが歩いていると、本気で思っていました」。ところが来てみてビックリ。高層ビルが林立し、街をゆく若者のファッションは日本のそれに全く引けを取らないばかりか、先端を行くことも。

当初は先輩美容師と2人だったが、途中から唯一の日本人スタッフとなった。現在は、タイ人の美容師と2人で店を切り盛りする。

休みは毎週水曜日だけ。午前9時半から夜7時すぎまで予約でびっしりのことも。帰宅時間が午後10時を過ぎることも珍しくない。

「手に職を!」と通信制で勉強。美容師に

桑原ももさん

愛媛県・南宇和の出身。高校を卒業後、大阪の専門学校を経て、大阪で就職した。24歳のとき、「手に職をつけよう!」と一念発起。美容室でアシスタントの仕事をしながら美容学校の通信課程を修了した。

一人前のスタイリストになるためには、シャンプー、トリートメント、マッサージ、ドライ、矯正、ヘアカラー、ブロー、カット、パーマなどといった各段階のテストをパスしなければならない。

桑原さんが「最も難しかった」とするのは、カット。思うようにいかず、「凹むことも一度や二度ではなかった」が、友達をモデルに練習を重ね腕を磨いた。

「でも、私、実はパーマが一番好きなんです。巻き方が少し違うだけで、仕上がりがぜんぜん違ってくる。やっていて、とても楽しい」

みんな、生き生きと暮らしている!

日系の美容室なのに、客層の3割はタイ人が占める。テレビでお馴染みの芸能人や、サッカーの対プレミアリーグの現役選手も。「おおー!あの有名人が来ている!と驚くこともあります」と桑原さん。

「あなたに切ってもらいたい」と言って、チョンブリ県やパタヤ市から2~3時間も車を飛ばしてやってくる馴染み客も少なくない。仕上がりに喜んでもらえると「いいな、この仕事!」と、つくづく思う。

でも、最初のころは言葉の壁もあって、なかなか馴染めなかった。「向いていないのかな?」と思ったことも。そうしたときに支えてくれたのが、同僚のタイ人スタッフであったり、仲良くなったタイ人のお客さんだった。

タイに来て間もないころ、頼んでもいないのに一緒にアパートを探してくれた。食事に誘われたことも。「タイの人はせかせかしていない。みんな、生き生きと暮らしている」

タイでもう少し仕事がしたいなあ!

C2

赴任前、会社からは「3年が目途」と言われてきた。最初のころは早く帰りたくて仕方がなかったが、今では「もう少し長くいたいなあ」と本気で思う。

毎日が仕事の連続なので、せっかく東南アジアにいても、ほとんど旅行もしたことがない。目下の関心は、ネパールやインド。「どんな環境や衛生状態でも大丈夫。虫もへっちゃら!」と笑う。

数年前、日本の雑誌で、バックパッカーをしながら美容師として、東南アジアで生きる人の特集を読んだ。そのことが強烈な印象となって今でも頭に焼きついている。

「私も何か、そんな生き方ができればいいな」。そう話す桑原さんの目は柔和だった。

タイで生活する日本人は最新の2012年統計で約5万人。企業などの駐在員や永住者、その家族などが多くを占め、滞在する男性の多くが仕事を持って暮らしている。女性についてはビザの関係から就労が難しいと一般的に理解されているが、実は、働く女性は決して少なくない。新企画「タイで働く女性たち」では、タイで仕事に就き、活躍する女性たちを追う。

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