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「10年前と比べてタイは大きく成長した!」JETROバンコク事務所 助川成也氏 インタビュー

各企業の洪水対策はどうでしょうか?

各社とも自社で出来る限りの対応は検討していると思います。確かに今年も洪水の懸念は残っていますが、工業団地の堤防工事だけに頼ってはいられません。企業の中には、例えばどこかの地点をベンチマークとし、その地点で水が溢れたら即座に自社の重要な設備を移すというBCP(事業継続計画)を策定している企業も多いと思います。

工場は物理的に洪水で冠水しても生産は続けられるような体制構築を目指しています。広大なサプライチェーンの中で、自分が供給を停止することはサプライチェーン全体を止めるのみならず、将来的にはサプライチェーンから弾き出されてしまう懸念もあります。

これは、大きな商機を失うことに繋がるどころか、企業によっては会社の存続にまで影響を及ぼしかねません。

タイ社会の特徴とは何だと思いますか?

外国人や外国企業への「抱擁力」は特筆すべきです。母国から遠く離れたタイに来ている外国人が、肩肘張らずに生活出来る、ややもすると自国にいるような感覚にさせると表現すれば良いのでしょうか。

特に我々日本人に対しては、その生真面目さと長年の投資により雇用を提供してくれたという背景から信頼感が醸成されています。洪水の時も、被災した数多くの日系企業の要望に対して、タイ政府に真摯に取り組んでもらいました。

実際に、洪水で被災した企業は約500社以上にものぼりましたが、撤退を決めた企業はそれほど多くはありません。これは、タイ政府が日本企業の声を真剣に聞いて対応いただいたことの証左でもあります。

また、同じ仏教ということもあって、文化的に通じるところもありますね。例えば、タイでは目上の人を敬う文化が深く生活に根差しています。目上の人のメンツをつぶすことは決してしません。

それが「会議」にも表れていると思います。例えば、会議では上司がいる前では部下は決して発言しない。上司のメンツをつぶす懸念もありますから。

そうした文化は、ずいぶんと日本では薄くなってきていますが、タイでは今でも残っています。「心」を大切にする民族。「ジャイ」(心)という言葉を使う表現がタイ語にたくさんあるのが分かるような気がします。仕事の上では、相手も心の掴むことが、タイビジネス成功の鍵ではないでしょうか。

タイへの進出を考えている企業、個人の皆さんへ一言。

タイは非常に親日的な国であり、日本人が日本人として生活出来る希有な国です。しかし、実際には「国」自体が違いますので、法令一つとっても、その成立の背景や考え方は日本とは全く異なります。例えば、「労働者保護法」は日本企業から見れば「労働者寄り」と見がちですが、タイでは20世紀初頭まで奴隷が存在したという歴史的背景があります。それら背景を理解した上で、事業を行うことがタイでは重要でしょう。

また、タイをより知るにはもちろん十分な勉強が必要です。しかし、全てに通じることは日夜多忙な企業人にとって並大抵のことではありません。タイには日本人が5万人おり、その中には数多く「その道のプロ」が存在します。それら情報や知識を持つ方々とのネットワークを作り上げ、常に相談出来る、もしくは連絡をとれる体制を構築しておくことは非常に重要です。

助川成也氏/調査担当次長兼主任調査研究員(アジア)
大学卒業後、1992年に日本貿易振興会(JETRO、現・日本貿易振興機構)入会。タイでは、前回の駐在時にソフトボールチーム「J’s」(現シーナカリン・レッズ)を同僚とともに創設し、現在は選手兼監督を務める。日本人会のリーグ戦は8月末まで予選。9月から決勝リーグと、当分の間、週末も忙しい日々が続く。前回の駐在時にタイで生まれた長女は現在、アイススケートに夢中。「いつも原稿の締め切りに追われ、スケートリンクの脇でも執筆しており、家族から呆れられている(笑い)」と本人談。

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