電気グルーヴ・石野卓球がバンコクで語った。「昔と今と未来の音楽の話」

石野卓球
石野卓球
インタビュー

タイ在住の日本人にも注目されていた石野卓球初のバンコクライブを終え、翌日、緊急インタビュー。約一時間に渡って「昔と今と未来の音楽の話」を語りました。

一夜明けて初めてのタイでのイベントの率直な感想はどうでしたか?印象に残った出来事などありましたらをおきかせください。

日本人のお客さんが本当に多くて正直外国にいる感じがしなかったね。もちろんパーティー自体は本当によかったんだけど「初のバンコクでのイベントについての感想は?」となるとちょっと難しいかもしれないな。なんというか「トランジット先の空港でトイレにいってその国の印象は?」と聞かれている感じ(笑)・・・

でも、やっぱり日本人以外のお客さん達も、かなりはじけてる感じがした。よく言えば「パーティーピープル」、「悪く言えばノーテンキ的な」…でも、それは悪い意味ではなくて、音楽を楽しむ上でいいことだと思うしね。

印象に残ったといえば、終わった後にお客さんが押し寄せてきて、一緒に写真をとりたいとブース付近がちょっとごった返したので、撮影後に裏の出口から出たんだけど、その時にタイ人のスタッフから「すごい人気だね!、大変だね!、そんなにハンサムじゃないないのにね!」と、つらっと言われた時はこっちも笑ってしまった。「自分でそんなことわかってるよ!というか、んなこと言われても、って感じだった!」いやぁ本当にタイの人は感覚までもがはじけてるなって(笑)

イベントのきっかけについて教えて下さい。

基本的に海外での初オファーに関してはなるべく行くようにしているので、単純に今回のオーガーナイザーからコンタクトがあった時に即決した。事前にクラブの雰囲気も細かく確認がとれていたので、イベント当日もド・テクノというより、ハウスよりでパーティーっぽい感じにしてみました。

テクノミュージックは南国で受け入れられにくいと思っていたのですが、常夏の国タイで今回はどうしてイベントを決意したのですか。

まず、インドやイビザとかでの野外でのトランス音楽の世界普及とかを考えると、特に南国で受け入れられにくいともいえないと思うよ。確かに密室的でミニマルな音楽となると話は別だけど、昨夜のように生々しく音楽とダンスを楽しむパーティーピープルが存在している以上は普通にいけると思うな。

でも、確かに南国出身のテクノアーティスト自体は少ないような気がするね。

1989年に電気グルーヴを結成以来、日本のテクノシーンの最前線で活躍を続けている卓球さんですが、当時と今の日本の邦楽音楽シーンの大きな違いとは一体なんですか?

やっぱりの一番の違いはCDが売れなくなったことだね。昔、特に90年代といのはCD出してミリオンヒットとかいう話もあったりしたけど、今ではそういう流れはまったくない。

人も音を楽しむうえでの音楽として、別に何も求めていない感じになってしまった気がする。だからといって音楽を聞く人がいなくなったというわけではなくて、本当に好きな音楽を求めている人は細分化された音楽へダイレクトにつながれるようになったし、自分が好きなモノをだけを探しにいっているみたいなことが普通になっただけだと思う。

んーなんというか「チャート自体がゲームのチャートみたいな、以前あった音楽マーケット自体が全く別のマーケットになった感じ」

もう一つ変わった点としては制作費。というのもあの時代はとにかく音楽制作の業界もバブルな感じで金銭感覚が麻痺していて、例えば「一日30万円のスタジオに入ってひたすら曲の詩を書いている」とか「お金は空から降ってくるみたいな感覚があって」…。ほんとにあの時代は僕らに限らずみんな狂っていたんだと思うな。

でも、最近ではコンピューターの普及によって自宅でも制作できるようになって大分コストも下がってきてるので、ある意味、時代にそって本来のカタチにも戻ったんだなという感じがしている。

この話に関してアーティストとしての考え方も、それぞれいろいろな想いがあると思うけど、僕はその環境が大きく変わる時代の境界を経験できた事がよかったなって思ってる。

最近は国をあげてエンターテイメント事業に投資する韓国が伸びたりと、日本のJPOP界は若干押し流されているようにもみえるのですが、90年台の日本の良き音楽シーンに戻すための方法はあると思いますか?

基本的にはもう戻んないと思う。例えて言うならテレビの視聴率と同じで昔はみんなお茶の間で家族そろってみていて、番組によっては視聴率40%とかいうこともあったけど、今はやインターネットなどで個人で見るというのが主体になりつつあるので、個人の趣味で個々興味がに分かれている感じなっているんだと思う。

韓国という話をしても「一体だれが聴いているの?」と言う感じでお金を払って聴くというより、どちらかと言うと流れてきているから聴いているという感じじゃないかな。一昔のポンチャックディスコの方が泥臭く個性があって面白いかったのに、なんかよかった灰汁(アク)が削ぎ落とされちゃったような気がしてね。

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