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「日本」住んだことがないから持てる愛国心 大倉尚己インタビュー

「もう少し冒険を続けてみよう」

海外で生活していることを羨ましく思われることもあるが、自分としては“冒険”の連続だったと思っている。良いことばかりとはとても言えなかった。だから、一般企業に就職する道もあった。幸いに高校時代の単位を大学で認定してくれたこともあって、1年早く卒業できたことが大きかった。「もう少し冒険を続けてみよう」

選んだ先は、かつて住んでいた日本。でも、幼すぎて記憶の全くない日本。自分の中では「日本は楽しいところ」という印象しかなかった。その「楽しいところ」で、バンコクでも経験した“役者”の道を歩んだ。「普通に就職するより、自分にしかないものを見つけていきたい」。そんな思いが強くあった。

その劇団では1年に2回しか定期公演がなかった。小さな劇団で、団員は名前を売っていくため、大きな劇団にゲスト出演を打診し、舞台に上がる機会を得ていた。給料はなく、みながアルバイトをやりくりしながら、好きな演劇を続けていた。

セブンイレブンで深夜のレジに立つ先輩。ピザの宅配で遅くまでバイクを運転する先輩。もう30年もそんな暮らしを続けている人もいた。みなが夢を持っていた。みなが覚悟を持っていた。憧れる一方で、「とても太刀打ちできない」という思いが常にあった。

再び、バンコクへ

結局、1年半でタイに戻ることにした。劇団が嫌だったからではない。馴染めなかったからでもない。居候していた叔母が高齢となり、これ以上、迷惑をかけられないという思いが一番強かった。最後の舞台は、正義の味方シリーズ「○○戦隊」のグリーン役。思いっきり、パロディーだった。

タイに戻るとき、「演劇はもういいや」という気持ちがないわけでもなかった。だが、母が続ける「劇団 サザン天都」の稽古を見るうち、「もう一度、やってみよう」という思いが自然と湧いてきた。駐在日本人に英語を教えるアルバイトを続けながら、再び同劇団で役者の道を選んだ。

今年10月からは、インターナショナルスクールの日本語教師の仕事も見つかった。授業は週19コマ。タイ人の高校生に英語で日本語を教えるのが仕事。飽きることがないように、ゲームや、時には演劇の要素も取り入れている。

ただ、生徒全てが日本語に興味を感じているわけではない。授業の一環だからと仕方なくノートを開いている生徒もいる。だから無理には押し付けたりはしない。大切な「何か」が伝わればいい。まだ若いんだから。人間として大切な「何か」が。

人生はとっても面白いんだから

偉そうに言うつもりは全くないが、日本にいる20代の同世代の仲間たちに、海外にいる同世代の仲間たちに、少しだけ伝えておきたいことがある。「そんなに格好つけてどうするの?」「何のために格好つけるの?」

自分のような少ない人生経験でも、日本や留学先のカナダで、人間の情けないところ、弱いところを何度も見た。自分自身が「弱虫」であることも痛いほど感じた。時には泣きながら、大声を張り上げながら。自己嫌悪に陥ったことも一度や二度じゃない。

社会には自分をことのほか大きく見せようとする大人たちがいることも知った。でも、そんなことして何になるのだろう。何のために、そんなに威勢を張らなければならないのか。

疲れたとき、遊びたくなったとき、怠けたっていいじゃないか。泣いたっていいじゃないか。あまり頑張りすぎず、弱いところをあえて隠そうともせず、甘えたいときは、甘えたっていいじゃないか。だって、人生はとっても面白いんだから。とってもダイナミックなのだから--。

人口1000万人以上ともされる東南アジア屈指の巨大都市バンコク。アジア、欧州、アメリカなどからひっきりなしに航空機が就航する国際都市でもある。そこに棲むわずか4万弱の日本人。数字からすれば1%にも満たない少数派に過ぎないが、その人間模様は人の数だけ存在し、多種多様の色彩を放つ。不定期新企画「Human Story バンコク人間模様」ではバンコクに生きる個人にスポットを当て、そのドラマ=人間模様を一話完結で紹介する。

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