กินข้าวยัง 「ごはんたべたーん?」
ไปไหน 「どこいくんー?」
ไปไหนมา 「どこいって来たん?」
タイ人は大阪弁で質問するってわけではないですが、タイ語で話すタイ人の友達ができると、こんな風に聞かれることが多いですよね。
「どうして、タイ人は食べるもののことばっかり聞くのでしょう?」
「どうして行ったところとか個人情報を聞くんでしょう?」
という質問を受けることも少なくありません。この一見「意味がない」ように見えるおしゃべりにはいろいろなものが実は隠されているよ、というのが今回のお話。
「ご飯食べた?」という挨拶語
「食べ物関係の質問」といえば、「食べたかどうか」「何食べたか」というのが多いかな?と思います。
まず「ご飯食べた?」は「挨拶」としての要素が多分にあります。皆さんもよく知っている「サワッディー」という挨拶は富田竹次郎先生編著の『タイ日大辞典』によると、仏暦2474年、西暦1931年にできた言葉なんです。
私は1989年から1年間、交換留学生としてバンコク近郊の農村で暮らしていましたが、家の前で座っていると時間を問わず、「ご飯食べたかーい?」と近所の人が聞いてくれていました。それはタイのように食べ物があふれるほど豊かであったとしてもそれを思いやる気持ちが「ご飯食べた?」という言葉に込められて、結果、挨拶的に用いられていると考えています。
私たちの両親が「ちゃんとご飯食べているの?」と聞いてくれているのと同じような気持ちのルーツがあると思えたらいいなぁと思います。
じゃぁ、「何を食べた?」と聞くのはなぜか。
この質問は、実は「タイ語をある程度話す人にはあまりしない質問」だったりします。先ほどのように「ご飯食べた?」が挨拶であればなぜ「何を食べたのか?」を聞くのか。私見では、タイ人の「タイ語テスト」なんです。毎日同じようにメニューを聞く。
タイ語が外国人にとって難しいのは知っている。だけれど、ご飯のメニューぐらいからなら覚えられるんじゃない?何となく、そう思っている気がします。毎日一生懸命メニューを覚えてくる人には「お、頑張ってタイ語やろうとしているな!」と思うし、そうでない人は「あんまりタイ語興味ないな」と思う一つの判断ツールなんじゃないかしら。
私も学生時代、体育の先生に毎日毎日聞かれてました。ホストファミリーはお店をやっていて忙しかったこともあり、生活も質素でご飯に汁物一つぐらいしか出ないので、メニューを明らかにするとホストシスターが嫌な思いをしないかと思って、ぐずぐず答えていると、「お前は俺の質問の意図がわかってない!」としかられちゃったことがありました。(苦笑)
まぁ、これ以外にも「どこ行くん?」「どこ行ってきたん?」というバリエーションがありますが、本質は皆同じです。「聞いてどうする」ではなく、「あなたを思っているよ」という気持ちをその言葉に乗せているんです。だから、返事しても全然聞いてないこともあります。w それも許してあげてくださいね。
会話のやり取りが生み出すもの
タイの人は周りへの気遣い、思いやりの深い人たちです。それをダイレクトな単語や言い回しではなく、遠まわしにちょっと伝えることが、今回のテーマのような「一見意味のない会話」に込められていて、それはもう少し広げて言うと「あなたも私を気にかけてね」という気持ちの裏返しでもあります。タイ人が素敵だなぁと思うのは『ちょっと恥ずかしい』そういう思いをうまく相手に自分から笑顔に乗せて伝えてくれることにあると思います。
皆さんも、今度は自分から「意味のない」質問してみませんか?きっと喜んでくれると思いますよ。