サワッディーカァ、ヨーコです。タイはずいぶん涼しくなって朝晩過ごしやすくなってきましたが、雨が続きますね。体調にはくれぐれもお気を付けくださいませ。
前回は、どうして一生懸命話しているのに、「通じない」タイ語がタイ人にどう聞こえているのか、というお話をさせていただきました。
耳から入る、外国語教育が主流だけれど
今回は、通じるためのタイ語の基礎体力作りのお話をしようと思います。
皆さん、タイ語に限らず外国語を勉強するときに「音」から入られることが多いのではないかな?と思います。外国語の学習書でも「CD付」が当たり前になって、CDなしだと売り上げが違うとか。
タイ語の子音や母音の音が日本語よりも多いことは皆さんもご存知だと思います。似たような音があって「聞き取れない」という経験もされてきたのではないでしょうか。もちろん、様々な音の違いをすっと聞き取れる耳をお持ちの方もいらっしゃると存じますが、「聞き取れない」音をどうやって「発音」するのでしょうか。よしんば聞き取れた音を「どのようにして再現するのか」というところが問題になってきます。
大学の公開講座講師を務めていたころ、大阪のオジサマオバサマはストレートにいつも教えてくれました「せんせー、何回聞いてもおんなじにしか聞こえへんわ。」
一昔前だと、タイ語の無気音の発音を「ガ」ですよ、とレクチャーしてくださる日本人のおじさまにもよく出会いました。でも、鶏をカタカナで「ガイ」って言って通じないですよね?
聞き取れない音をどうやって発音するの?
十年以上講師を務めていると「おうむ返し」という、言ったことを同じように発音するということがいかに難しいのか、ということに気が付かされます。先生の「Repeat after me」に続いて発音をしながら、自分の発音が果たして「正しいのか」なんて言うジャッジをしながら練習している人は少ないのではないでしょうか。続いて発音すれば正しくできる、そう思っているはずです。
実際、私の経験的には100人に一人ぐらいの方が、そのままの音を発声できるという印象です。そのような経験を経て感じたことは、『耳が認識できていない音を発音することは難しい』ということでした。音を聞いてわからない、それを口移ししても正しくできない、のであれば「口の形を正しくセットする」ということが正しい発音につながる方法だと気が付きました。
[box type=”success”]日本語は口をあまり動かさなくても音の違いが認識できますが、タイ語の場合は似たような母音、子音が複数あるため、目いっぱい顔の筋肉を使って口角を上げたり、唇を引き延ばしたり、舌を上げ下げしないとその違いが出ないということなのです。[/box]
こういった作業の中で、例えば日本語の「がぎぐげご」の口の動きとタイ語の無気音の「k」の発音の口の動きを比較して、確かに違うねぇ、ということを認識してもらいます。
その結果、たとえ今「聞き取れなく」ても、正しい口の動きをすることでタイ語の音が出るようになります。そして、正しい音を口のそばで聞いている『耳』がその音を「認識」するための引き出しを用意してくれるようになるのです。
口がさき、耳があと。
「卵が先か、鶏が先か」というような謎解きではなく、タイ語の発音で言うと『口の動かし方が先、耳があと』で習得することがスムーズで通じやすいタイ語習得に寄与すると考えています。
私のタイ語の基本レッスンは顔が痙攣するぐらい顔を一生懸命動かしてもらいます。自分で顔の表情を確認してもらいながら、いかに自分が顔の筋肉を使ってタイ語を話していなかったのかもよくわかります。生徒さんによると、発音が聞き取れなくても、タイ人にその音を発音してもらうことで、その口の動きを確認して正しい音に導くことができるというメリットもあるようです。