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現代に生きる港市国家アユタヤの世界遺産

アユタヤ歴史公園内とその付近には、広大な寺院、そして遺跡群が大切に保存されている。そこで現存する仏像たちは、その遥か昔のままの姿やアユタヤ王朝全盛時の美しい姿に復元されたものも存在するが、その後のビルマ軍侵攻による破壊、そして風化しながら無残にも原形をとどめていないものが多くを占めている。

アユタヤは数年前に大洪水に見舞われ大きなダメージを受けたが、波乱に満ちた長い歴史の中では微々たる出来事だったかもしれない。

カメラのファインダー越しに遺跡を見つめると周辺の綺麗に整備された公園部分の景色がうまく切り取られて、その主役である遺跡たちはまるで“美しき廃墟”のように映し出される。まさに写真の醍醐味を体感できる瞬間だ。写真とは“真実を写す”。まさにこのことを表しているのだろうか、などと考えながらこの“美しき廃墟”を撮り歩く。

数多くのスポットの中でも特に有名なのが、仏像の頭部が木の根っこの中に埋まってしまったワットマハタット。広大な土地を贅沢に使ったレイアウトは訪れる者たちを圧倒する。当時のアユタヤ王朝の繁栄がいかに大きなものだったかを容易に想像できてしまう。

さて、タイは常夏の国なので、太陽が出ていると空は最高に青くなるし木々たちは完璧に緑になる。そしてそれらはとことん鮮やか。このコンビネーションに仏像がまとっている袈裟のオレンジ色がドンピシャで合う。晴れた日にアユタヤを訪れると、こんなタイを象徴するようなシーンに簡単で出会える。

一方で曇り空の下での仏像は、また違った表情を浮かべることがある。雲でフィルタリングされたやさしい光が岩肌の凹凸をうまく目立たなくしてくれるからだ。そこに女性的なやわらかさを感じる瞬間があると、ふと体の火照りがなくなり背中の汗がスーッとひいていくような不思議な感覚を体感できる。

歴史公園から少し離れた市街地付近に位置するワットヤイシャイモンコーンでは、高くそびえ立つ仏舎利塔の周りに多くの仏像が並んでいる。ちょうど回りの人たちがいなくなってしまうようなタイミングに出くわすと、自分の周りにいる仏像が一斉にこちらを見ているようでカメラを向けるのも幾分緊張してしまうが、刻々と変化する太陽光の下では風景を撮影しながらも、実はポートレート撮影も同時に楽しめることがわかるとなんだか得した気分になる。

地元の人々の生活に溶け込んでしまっている小さな遺跡も存在する。道端にポツンと現れる、日本でいうとちょうど古い御堂のようなものなんだろう、青空のもと仏様の白い肌が美しい。そしてそのとなりで野良犬が昼寝している。

どこからともなく人が集まってきてそこで井戸端会議をしてはまた去っていく。名もなき遺跡のまわりで私がカメラ片手にうろちょろしていると、地元の人々たちが仏様に手を合わせながら通り過ぎていくシーンに何度となく出くわした。

バンコクから一番近い世界遺産の街、アユタヤ。その遥か昔アユタヤ王朝として栄えた輝きはほとんど失われてしまったけれど、当時の面影を残して静かに静かに佇みながらこれからもここを訪れるであろう世界中の旅人たちを魅了していくに違いない。

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