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GSP失効で迫る輸出危機 – 急ピッチで進められるタイ・EU間FTA交渉

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FTA交渉でタイのネックとなっているものとは

タイ側の効果と影響に関するフィジビリティー・スタディー調査(F/S:実行可能性調査)は、タイ政府の委託を受けたタイ開発研究所(TDRI)が2010年に行っています。TDRIは、「タイはEUとのFTA交渉に入るべきだ」とした上で、「(協定は)より広範囲で深く、より良いものを目指すべき」としています。物品貿易については、特に「農産品と農産物加工品の自由化を推し進める」とし、タイ産品のEU市場獲得に資する協定にするよう政府に助言するとともに、サービス貿易についてはポジティブリスト方式での自由化が望ましいとしました。

ポジティブリストは、締約国が自由化を行う分野を指定する約束方式で、ASEAN や加盟各国の多くはこれまで同方式による自由化を行っています。一方、ネガティブリストは締約国が自由化義務の例外分野を指定する方式で、一般的にネガティブリスト方式の方がより自由化に資するといわれています。EUは、タイに対し物品以上にサービス分野の自由化を強く迫ってくると予想され、タイは警戒感を強めています。

特に、サービス分野自由化において、a.少数のサービス提供者によって支配される産業(通信、金融、エネルギーなど)、b.多くの小事業者が関係する産業(証券サービス、生命保険以外の保険サービス、インターネット・サービス・プロバイダー、税関貨物取扱人、運送業者など)、c.特急(速達)郵便業務、d.通信社サービス、e.環境サービス(汚水処理など)、f.エネルギー、石油・天然ガス、g.専門家サービス―の7分野を取り上げ、EUに市場開放を行った場合の影響を分析しています。

そのうちb.およびe.は既に競争が存在しており、EU 資本が過半の投資をした場合でも影響は小さいとしています。また、報告書は、EUに対し環境保護に加え、タイ製品の品質・標準を向上させるため、能力開発に関する技術協力を求めるべきだとしています。

さらに、EUが要求する標準、生産技術、標準化された品質による管理システムに関する情報について、一般がアクセスできるようITシステムの構築を提案しています。国内事業者保護の観点からは、農業・農業協同組合銀行、輸出入銀行、中小企業向けのSME銀行などが中小規模の事業者や農家に対し、ローンの拡大と保証提供することを提案しました。また、影響を受ける事業者に対しては、より最新技術を備えた設備の導入を促すため、旧式設備の減価償却の加速を提案しています。

今後タイが執るべき行動とは

ようやく交渉が開始されたタイ・EU間FTA交渉ですが、2014年末までの締結・発効は時間的に難しいと思われます。少なくとも数年間はMFN税率での輸出は避けられないと考えた方がよいでしょう。

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その間依然として、欧州市場でベトナム、インドネシア、フィリピンなどGSP対象国との競争を余儀なくされます。タイ政府はこれら影響が大きい分野に焦点を当て、コスト削減や、高付加価値化、新市場開拓への支援などに取り組む必要があると思います。

助川成也:

日本貿易復興機構(JETRO)/調査担当次長兼主任研究員

1992年4月日本貿易振興会(JETRO)に入会。98年6月よりジェトロ・バンコク事務所(対タイ投資促進担当)へ。その他亜細亜大学アジア研究所嘱託研究員、中央大学経済研究所客員研究員などを務める。近著に「ASEAN経済共同体」他多数。

www.jetro.go.jp

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