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GSP失効で迫る輸出危機 – 急ピッチで進められるタイ・EU間FTA交渉

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今年5月にタイ・EUのFTA(自由貿易協定)交渉が開始された。タイは2014年末をもってEUの途上国向け特恵関税であるGSP(一般特恵制度)対象国から外れる可能性が高いことから2年以内でのタイ・EU間FTA妥結を目指し、急ピッチで交渉が進められている。早期妥結は可能なのだろうか。ジェトロ(日本貿易復興機構)の調査担当次長兼主任研究員・助川成也氏に話を聞いた。

なぜFTA交渉が開始されたのか

EUはまずASEANとのFTA妥結を目指していました。2007年5月に交渉入りで合意し、同月交渉を開始しましたが、2009年3月に両交渉団は交渉の一時停止を余儀なくされました。その後、一時停止したことについて2010年3月、シンガポール国立大公共政策大学院で行なわれた講演会では、デフフト欧州委員が、「ミャンマー人権問題とASEAN域内の経済格差から柔軟な交渉が困難」と発言しています。交渉開始からわずか1年10ヵ月で、交渉は頓挫しました。

次にEUは、ASEANの個別国に切り分けて交渉する方針に切り替えました。2009年12月に開催されたEU環境相理事会は、ASEAN各国との個別FTA開始の承認を決定。これに合わせるかたちでシンガポールとEUは同月FTA交渉開始で合意、2010年3月に交渉を開始しました。しかし、概してASEAN各国の動きは鈍く、そのためにEUにはGSPの制度変更を通じて、ASEAN各国にFTA交渉を応じさせようという思惑があるようです。

タイ産業界には以前から、EUのGSP制度変更の影響を懸念する声はありました。2011年5月に欧州委員会が2014年以降のGSP新規則案を発表するなど、改正の動きを強めています。これは当時、ASEANとのFTA交渉が停滞していたこととも無関係ではありません。

交渉開始が遅れた原因は

タクシン政権時は対外通商戦略に積極的でした。しかし、アピシット民主党政権は2010年に首都中心部で起こった反政府デモなどで国内融和など、内政に注力せざるを得なかったこと、翌2011年には7月の総選挙で政権を握ったインラック政権が特に地方を中心とした内需振興による経済格差是正に力点を置く一方、明確な対外通商政策を示していなかったことに加え、同年10月以降はタイ中部大洪水の対応に追われるなど、ここ数年間は国内に目を向けざるを得ず、他のASEAN有力国に比べ出遅れた格好となってしまいました。

タイはようやく、2013年1月に国会承認を得て、3月にインラック首相が訪欧。欧州委員会のバローゾ委員長と会談し、FTA交渉開始に合意しました。

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