不正人事で失職したインラック首相と9人の閣僚
タイの憲法裁判所は7日、インラック首相が3年前に行った政府高官の人事について、「親族の利益のため政府人事に介入したと信じる理由がある」と指摘、インラク首相本人と一部の関係閣僚を7日付で失職とする判決を下した。
失職を判決を受けたのは、インラック首相の他、プロードプラソプ副首相、プラチャー副首相、スラポン副首相兼外相、キティラット副首相兼財務相、ユタサク副国防相、サンティ首相府相、チャルーム労相、シリワット副農業協同組合相、アヌディット情報通信技術相の計9人。
インラック首相に失職判決を下した憲法裁判所って?
今回、インラック首相に失職の判決を下したのはタイの「憲法裁判所」。
同組織は1997年に設立された比較的新しい機関で、議員資格や新法案の違法性をチェックすることが主な執務。もし、憲法違反と判断した場合は該当する議員の強制失職や、政党に対し解党命令を行うこともできる特別な権利を持っている。
しかし、この政府機関はタクシン派に対して毎回厳しい判断を示しており、”毎回中立性がない”という批判もうけている。今年、2月に行われた議会下院選挙について無効判決を下したのもこの憲法裁判所だった。
まだまだ終わらないタイ国内の対立
昨年から続いている反政府グループとの対立は今回の判決により一段落にみえるが、これで全て終わったわけではない。
今回の判決後、副首相兼商業相(タクシン派与党)が選挙管理内閣に就くことが決定したため、反政府グループは全閣僚が総入れ替えされるまでデモ活動をひき続き行う姿勢をみせている。
一方で、インラック首相を支持していた赤シャツグループも今回の判決に対し強い反発を示しており、近日中に大規模な抗議運動を行うとしている。
昨年から続いている国内対立で、依然として不安定な政情が続くタイ王国。インラック首相が失職という判決が下ったものの事態正常化への具体的な道筋はまったく開けていない。
今回の判決をきっかけに再び対立が激化する可能性も出てきている。