タイ警察は先日、タイの王室関係に対する批判的な言葉や、治安を脅かす不適切発言を取り締まるため、タイ国内のLINE上のメッセージ内容を検閲できるように検討すると発表。
今回のLINEメッセージの検閲問題は日タイメディアでも大きく取り上げられた。両国のユーザーからは「プライバシーの侵害」や「不安定な管理体制での情報漏洩」などの懸念の声があがっており、今なおFacebookなどでも物議を醸し出している。
LINEメッセージの検閲に向け早速行動に移ったタイ警察
ローカルメディアへの検閲要求検討案の発表後、タイ警察はさっそく行動を開始、日本の”LINE株式会社”に検閲要求に挑んだ。しかし、まずこの一歩が順序違いだった。
本来、国レベルでのインターネットプライバシー問題は、まずはじめに政府期間に要求するのが筋。問題定義している国の政府機関が相手国の一組織に直接要求するというプロセスは、一般的にはあまり考えられない出来事。
今やLINE社は世界に誇る巨大企業であるが、商店街の八百屋と同じ一つの「会社」。その八百屋にいきなり海外の警察からのクレームが来たら「まずは、政府にお問い合わせください。」と言われるのも当然のこと。これは明らかに検閲要求以前の問題。
タイ警察の問い合わせに冷静に答えた”LINE株式会社”
若干常識はずれとも言えるタイ警察からの強引な問い合わせ…しかしLINE株式会社のCEO森川亮氏は、そのタイ警察に対し冷静な回答を返した。
[box type=”shadow”]返答内容:LINEのチャットユーザーの記録は日本の裁判所からの召喚状がない限り、情報開示を検討をすることは不可能です。また、そもそもLINEにはユーザーのプライバシーの侵害に当たる行為は、利用者ポリシーとして扱ってはいないため、個人のメッセージを監視するシステムは現段階では組み込まれておりません。 [/box]
最近のSNS各社はユーザーを拡大させるため世界展開を前提としており、当然のことながら展開先の国の法律を確認した後にプロジェクトが進めらている。膨大なユーザーを抱えるサービスほど、法対策への重要度は高くなり、それをクリアした上で確実にサービスを行っているのが現状。
ローカルIT企業とタイ政府警察の”ネットリテラシー”のギャップ
LINEのタイ法人でジェネラルマネージャーを担当するJIN-WOO LEE氏によると。今のところタイ警察からは何の話も来ていないが、もし仮に問い合わせが来たとしても、この問題はとても長いプロセスが必要だ。とコメント。これを聞く限り、タイ警察とローカルのIT企業のマネージャーとの間のネットリテラシーにかなりのギャップがあるように思えた。
時にタイ警察は人事管理にも利用できるツールとしてLINEを褒めちぎっていた事もあったが、利用者の拡大で治安の悪化に影響することまでは想定出来ていなく、最新のインターネットツールに少し戸惑っているようにも見える。
例え今後、日本の裁判所が召喚状を受け取ってもLINE株式会社に対して情報開示を要求されるか、されないかは、また別のお話…
今回、門前払を喰らってしまったタイ警察、次はどういう動きをみせるのでしょうか。