デモ隊を指揮するステープ元副首相(元民主党幹事長)は、依然として「インラック政権の排除」を最終目標とし、来年2月2日の議会下院選挙(小選挙区)の阻止するため反対活動を続けいる。
未だ収集が付かない現状に場合によってはクーデターの可能性も高まってきた。
そのクーデター発生の要因ともなっているタイ国内の4つの立場について、現段階のローカル情報をまとめた。
反政府デモ隊・・・総選挙を控えさらに”過激な動き”
26日の未明には下院選の比例代表名簿の立候補受付会場であるバンコク都内のバンコクユースセンターに反政府隊のバスと街宣車計13台で乗り付けた。警官隊がそれを阻止するため放水車で放水、合わせて催涙弾やゴム弾を打って応戦。
長時間の攻防が続いた後、現場に何者かが拳銃を発砲、警察官1人が撃たれて死亡したほか100人ほどの負傷者がでた。
選挙管理委員会・・・選挙の延期は”現実的に難しい”
その後、中央選挙管理委員会は特別記者会見を開き、「現状況下で総選挙を透明性を確保し、公正かつスムーズに実施することは現実的に難しい」と考え、総選挙延期を現インラック政府へ促した。
また、「政府が選挙管理委員会の要請を受け入れず総選挙を延期しない場合、現実的に政府独自の判断で対処する必要があり暴力を伴わない総選挙を実施するためには、関係者全員の同意が必要だ」と付け加えた。
中央選挙管理委員会は立候補届出の受付が完了する年明けまでに今後の対応を協議し、近日中に方針を決定させ発表するとしている。
しかし、一部の関係者からは「政府が受け入れず2月の総選挙実施を進める場合は、デモ被害拡大を防ぐため各選挙管理委員自らが辞任し、選挙管理委員会自体を機能停止させ、総選挙実施を不能にする考えもある。」としている。
タイ王国の中央選挙管理委員会はスパチャイ委員長を含む5名の委員で構成されており、決定を下すには3人以上の賛成が必要。逆に3人が辞任すれば選管は機能停止になる。
現インラク政府・・・法的にも”選挙延期という文字はない。”
現インラック政府のポンテープ副首相は「自体は理解できるが基本的に”選挙を延期”する法律は存在しない。」と述べ延期要請を拒否。反政府デモを主導するステープ氏(人民民主改革委員会)も、「必要なのは選挙の延期ではなく、首相自身の退陣だ」と繰り返し述べ、総選挙の延期についても真っ向から反対している。
タイ王国軍・・・クーデター”なきにしもあらず”
デモ隊(反政府)と警官隊(現政府)が衝突し、多数の死傷者が出たことを受け、タイ王国陸軍司令官のプラユット氏は27日、軍事クーデターの可能性について「解決のドアは開かれてもいないし、閉じられてもいない。状況次第でどんなことも起こり得る」と答え、場合によっては軍部による政治介入の可能性もありえることを示唆した。
また、「軍部は、国民に受け入れられる役割をしっかり担い“国民から時代遅れの手段を選んだ”と批判を受けないよう慎重に監視することが重要であり、今タイ軍は最も難しい岐路に立たされている。」と説明した。
全ての問題は”金”ありきのタクシン政権が丸裸にされたこと
繰り返しになるが今回のデモ隊が求めているのは、現インラック首相の実の兄で現在国外逃亡中のタクシン元首相の影響力の徹底排除。
例え今後総選挙が行われたとしても、人口比率的に考えても地方や貧困層に人気のある与党・タイ貢献党が再び勝利するのは誰もがわかっている話
インラック政権が誕生した2011年7月の総選挙当時は一部でしか、その情報が回らず断続的なデモ活動しか続けられなかったが、SNSの普及などでタクシン政権のアンダーテーブルは丸裸にされ、現実を知った若年層までもが現政府に対し不正を感じ今回のような大きな騒ぎとなった。
それについては、anngleライター”Tanahashi”の、下記のツイートが解かりやすい。
タクシンの誤算。お金で選挙に勝利➡︎アンダーテーブルで、投資資金の回収 のロジック。不正蓄財で犯罪者へ。でも民主主義を掲げて、自分を正当化。このカラクリを、やっとタイ人が理解➡︎反政府デモ。となっています。
— takahashi yunosuke (@t1sam) 2013, 12月 9
現時点では軍事クーデターが起きるとは断言できないが、このまま騒動が続き死傷者が増えれば起きてもおかしくない状況ということは確か、旅行者及び滞在者の皆様は、激化した場所にはけして近づかぬよう十分注意して頂きたい。