タイ開発研究所(TDRI)はタクシー初乗り時の運賃を40バーツ(約138円)に値上げし、新たな基準「乗車時間の長さに基づく運賃」を策定した新たなタクシー改革計画案を提言した。この計画案は2018年末に発効される見通しである。
5月中にタイ王国陸運局に提出
タイ開発研究所(TDRI)の運輸専門学者であるスメット・オンギッティグン氏は、タクシー改革方針の調査結果をまとめ、5月中にタイ王国陸運局に提出する目処を明らかにした。最初の段階では、初乗り2キロにおけるタクシー乗車運賃を35バーツ(約120円)から40バーツ(約138円)に引き上げるよう料金体系を改正する。又、海外で利用されている運賃システムを参考に、乗車運賃の計算方法を変更する。
従来の 乗車距離+自動車の走る速度 に基づいた運賃計算から走行距離と移動時間の2つの項目で運賃を計算。変更の理由として、多くのタクシー運転手が現状として20-30%の収益減少に繋がる渋滞地域を避けようとし、結果的に乗車拒否問題が生まれている為である。
新方針について、上記課題を改善すべく実際の移動距離に基づき運賃計算を行う。例えば、5キロの乗車は移動距離に基づいた運賃だと50バーツ(約172円)だが、渋滞の場合は通常より15分多く移動に時間がかかる。その場合1分につき、1バーツ(約3.4円)の追加料金を課す。したがって乗車客は全部で65バーツ(約224円)の乗車料金を支払うことになる。
いずれにせよ、本方針は法律を全て改正する必要はなく、発効のために省令を改正するだけで十分と予測される。陸運局が承認し、国土交通省に提言すれば今年末に発行できる見通しである。
以前より効率的な運賃計算!?
スメット氏は新しい運賃計算方法は、従来と比べて運賃計算がより効率的になると述べた。さらに、今回の方針はサービス提供者にとっても理にかなったものである。なぜなら、現在のタクシー運転手のガソリン等のコストを除いた収入は1日当たりおよそ300-400バーツであり、タイの最低賃金とほとんど同じである。これは、タクシー業がサービスの向上の為の競争が行われない原因となっている。
又、GrabおよびUBERアプリの相乗り乗車サービス(Ride Sharing)の研究の進捗については、同様に法律を改正する必要はなく、相乗り又は自家用車を公共サービスに使用する場合は、サービス提供者を監督する方針を省令として発効するだけで充分だという見解に至った。
この時、タクシーのように黄色プレートを作る必要はなく、通常のナンバープレート(白色)を使用することが可能である。サービス提供者は、自動車が公共サービスの車であることを証明するために陸運局に登録、2枚のステッカーを受領し、自動車の前後に貼付する必要がある。
いずれにせよ、監督についてはGrabとUBERが合併した後、タイ市場の独占のリスクがあるため、より厳格な方針および規定を策定する必要を認めた。