戦車準備はクーデターではなく、子供の日のイベントのため!?
タイ国陸軍は1月11日のタイの「子どもの日」の各イベントで展示する戦車などの軍司車両を、9日からバンコク、ロッブリ県、ラチャブリ県、プラジンブリ県、などに順次配置していくことを発表した。
誰がどうみても明らかな軍司クーデター準備のような動きに対し、軍は「これはけしてクーデターの準備ではないと主張」。それに対し、政府支持派の市民団体からは13日に予定されている”バンコク閉鎖作戦”に合わせ、ついに軍事クーデターが起きるのではないかという声が飛び交っている。
踊らされ続ける反政府デモ隊、さらに困惑する一般市民
大規模クーデターの経験がなくとも、このタイミングでの戦車登場に不安を隠し切れない一般市民。デモの影響は時間が経つに連れ、さらに一般市民の生活に影響が出始めている。
先週の金曜日もタクシー運転手のグループが、早期の反政府デモの鎮圧を警察大将に申立てた。タイ王国警察本部の前では数十代のタクシー車両をならべて抗議。「反政府デモの影響で多くのドライバーは、今、深刻な経済的困難に直面している」と叫んだ。
また、あるドライバーからは、「ここ数ヶ月に及ぶデモ隊の影響で継続的な収入が停止し、家族への仕送りができずに我が家は家庭崩壊へ向かっている」と必死に訴え、重ねて現在のステープ元首相の行動は”単なる営業妨害”でしかないと、改めて同氏の強制逮捕を求めた。
タクシードライバーはタクシン派、反政府デモ回避の目処は立たず
しかし、難しい問題はここにある。”営業妨害”として抗議を訴えているタクシードライバーの大半はタイ東北地方から出稼ぎに来ている旧タクシン派。すなわち、現インラック政権の支持者という見方もある。
バンコクのタクシー1月13日からの「バンコク封鎖作戦」にインラック政権が頭を悩ませているとはいえ、それを停止するためにタクシードライバーを経由し、間接的な鎮圧をしているという見解もあり、一般市民は何が真実なのかが分からない混乱状態にもあるという。
2者は依然として”ああ言えばこう言うの繰り返し”
反政府デモを主導するPDRC(人民民主改革委員会)のステープ元副首相は4日、複数の軍幹部と会って話し合いをしたものの、「改革推進のため全閣僚が速やかに辞任し、暫定政権を樹立する必要がある」と改めて訴えを強調し、これまでの姿勢を全く変えようとしていない。
それに対し、インラック首相は1月5日にインターネットを通じ、「もし、我が政権を望まないのであれば、正々堂々選挙で勝負をつけるべき」などと訴え、2月2日総選挙への参加を改めて呼びかけた。
首相の主張に対し反政府派は、「現行制度のもとではタクシン派がいつもの不正な手段で選挙に勝利するのは目に見えている」と考えており、「選挙法などを改正せず、現政府がフェアに総選挙を実施することはありえない」と、繰り返し反論をとなえた。
年始の世論調査で分かった現状況下においての軍への期待
2者の主張が行き来する中、国民が唯一頼れるのは軍事組織。タイの世論調査センター「スアンドゥシット・ポール(ラチャパットスアンドゥシット大学)」は1月5日、「市民の半数近くが軍部が中立の立場を維持することを望んでいる」など、下記の調査結果を発表した。
「現在の不安定な政権に対し、タイ国軍に何を希望するか?」
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- 45%:「中立の立場を維持すること」
- 24%:「国家・国民が困難状況に陥るのことの回避と民主主義の護持」
- 13%:「特定の政治勢力のツールとして利用されないこと」
- 11%:「困難・災害に直面した国民の側に立って支援を提供すること」
- 4%:「下級兵士の士気を高め、待遇を改善すること」
[/checklist]
※2日〜4日にかけ全国の1219人を対象
ちなみに「現在の軍部に対する満足度は?」との質問には、約40%が「大変満足している」、約30%が「満足」、10%が「内部に対立があり団結していないので不満足」と答えた。また、今後の軍への提言したい内容については、約40%が「政治的意見を表明しないこと」、約30%が「冷静で適切な行動と、任務をないがしろにしないこと」などと答えた。
インラック首相は、引き続き軍首脳を通じて反政府派へ引き続き交渉を試みているが、回避の目処はいっこうに立たない状態だ。
果たして「バンコク閉鎖作戦」は、13日に決行されるのか・・・
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