タイの国内の主要メディアによると、ステープ元副首相は9日のデモをインラク政権(タクシン派)打倒に向けた最後の決戦と位置付け、明日の朝日、バンコク各地でデモ行進を再開する事が報道されております。
“決戦の9日”に予定されているデモ隊行進のエリア
9日のデモ行進の出発地は、バンコク都内のスクムビット通り、シーロム通り、ラチャダピセーク通り、ペッブリ通り、パホンヨーティン通り、チェンワッタナーのガバメントコンプレックスなどを予定。また、プアタイ党本部(旧日本大使館ペッブリ通り)、BTSエカマイ付近なども予定しているという。
デモを率いるステープ氏及び各デモ隊は各地を出発して再度首相府に向かい、現インラック政権への最後の主張をするとしている。また、タイ航空労働組合の全組合員もデモに参加表明していることで、明日以降のタイ航空などの運行に支障が出るおそれもでてきております。
バンコクの反政府デモの活動場所を追跡できるGoogleマップ
国会議員の3割以上が辞職、国会から一歩引いた民主党
タイ民主党(アピシット元首相)は、8日に下院議員全員の辞職を発表。アピシット氏曰く、「インラク政権とタクシン派与党プアタイは、法改正案を却下した裁判所の判決を拒否する姿勢を示したこと、そして、タクシン元首相への恩赦法案を下院で可決した事が国としての正当性を失った。」と主張している。
もともとタイ王国の政治とは選挙に基づく立法・行政と、影響力を持つ軍・司法(特権階級)が並立する二重権力構造になっている。
タイ軍事クーデター(2006年)以降続く政局の一連の混乱は、当時、立法・行政を握ったタクシン元首相が国家システムの一元化構造改革として、軍・司法の掌握を示唆したことが何より大きな原因となっている。
しかし、民主党はアピシット元首相らを筆頭に名のある地方議員が多く、特権階級寄りの思考が高い。今回は依然として収集の付かない状況に、今後のタクシン派政権打倒を視野に入れ、まずは一線から一歩引く方針を示した形となった。
これまで、具体的な行動を起こさなかったアピシット元首相ではあったが、これにより、タイの国会議員の3割以上が現時点でいなくなったことになり、明日以降のタイ政府の動きに注目されています。
単にインラック政権を落とすことではない、ステープ氏の最終目的とは?
ステープ元副首相は今回のデモで「インラック首相の辞任と下院解散」を強く主張してきたが。最終目的とは「権力を国民にとり返す事」としており、タクシン派であるインラク政権を崩壊させるだけでは、国民にとって直接的な意味は無いとしている。
また、今回の民主党全員辞職で民主的且つ、合法的な手段での事態収拾は完全不可能となり、今後、場合によっては軍または司法が政治に介入する可能性もでてきた。