洞窟遭難事故の展示会!?
バンコク中心部のショッピングモールで今年6月にタイ北部で発生したタムルアン洞窟遭難事故に関する展示会が開催された。
当日は実際に事故に遭遇したサッカー少年たちが招待されたほか、遭難時の様子を再現したようなデモンストレーションなども行われた。しかし、タイ国内の精神医学者は子供たちが将来的なトラウマになる可能性があるためこのような行事を本来やるべきではないという声が上がった。
展示会対する精神学者の異論
タイの児童精神医学者であるジラーポーン氏は、同展示会についてフェスブックに下記の内容を投稿している。
「本人にとってトラウマは簡単に克服できるものではなく、後遺症を抱えている人の気持ちを面白半分に弄んだり、そのトラウマについて軽々しく口に出したりするのはあるまじき行為だ。」
「少年たちに洞窟遭難をもう一度体験させるメリットが全く感じられない。彼らは笑っていたかもしれないが心の傷は癒えたかどうかは誰にもわからない。傷は触れさえしなければ自然に治る物だ」
国籍問題とダイバーの死亡
同遭難事故によって浮上したもう一つの問題は救出後に明らかになった少年らの国籍問題。当時、メディア各社は遭難したのは”タイ人サッカー少年”と報じていたが実際はコーチを含む計4人がタイ国籍を持っていない無国籍状態だった。FIFA(国際サッカー連盟)は、救出後に少年らをワールドカップの決勝戦に招待する準備を進めていたが、これらの国籍問題によって実現することは出来なかったという。
中国から南下し北部にたどりついたと言われているタイの山岳民族はタイ全人口の約1.5%(約93万人)と言われており、1974年頃からタイ政府は国籍を与えることを決議してきたが認定手続きの遅れなどで解決に至っていない・・・
国にとっての最重要課題とされる国籍問題、そして、救急ダイバーの死亡。歴史に残る大惨事とも言える洞窟遭難事故をたった数ヶ月で客寄せツールとして利用したショッピングモール側の考え方に不安を抱く人も多いようだ。
source:matichon&nationmultimedia