心に残るタイのCMシリーズ。本日紹介するのは、認知症の妻を介護する夫の一日をフォーカスした作品。タイの保険会社の制作。
朝起きて、妻に靴下を履かせるのが毎日の日課。ところが妻からは「チュー・アライ?(あなたの名前は?)」。でも、夫は手を止めようとせず、微笑みながら自分の胸に言葉を刻む。「君は僕を覚えていない。でも、僕は君を覚えている!」
花や木々が好きだった妻。好きな色は青。靴のサイズは6。冷たい水は苦手。辛いカレーが好きだけと、グリンピースは食べられない…。
妻のために買い物に出かけ、洗濯をし、食事はいつも一緒。流れる音楽に昔を思い出し、静かに話しかけてみる。「6月6日が僕らの結婚記念日だったね。あの時の約束を僕は忘れていない。これからの人生、きっと幸せにしてみせると僕は言ったね。君は笑顔で応えてくれた…」
「さあ、昔のように踊ってみようか」。妻の手をとり、静かに立ち上がらせる夫。ところが、しばらく踊ってはみたものの、彼女の口を突いて出たのは「あなた、誰?」
今朝もまた、靴下を履かせ、靴紐を結ぶ。「今日も散歩行くの?あなた、疲れないの」。「いいや…」と微笑んで返してみせるところで、ドラマはクライマックスを迎える。