日本からタイのチュラロンコーン大学に短期留学した私の「カタツムリ研修記」(中)-山岸由季

旅行・冒険

ジャングルの中には、本当に色々な生き物がいた。さずが、熱帯雨林!一歩あるけば生物多様性の宝庫。タイの教授は私に、カタツムリだけでなく熱帯に生息する色々な生物の説明をしてくれた。

虫が平気であった私だったが、さすがに巨大なヤスデを素手ですかんで「可愛いでしょ!」ってタイの学生に言われた時はとにかく引いてしまった。触るなんてとんでもない・・・。足は数えられないくらいたくさんあるし、体はいくつもの節に分かれてて、しかもウニウニしてるし・・・。とくかく気持ち悪くて見るだけで十分だった。

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でも、日本から引率してくれた私の教授はやたら私にそれを持たそうとして、「由季、お前はBIOLISTだろ。これぐらいでビビってどうするんだ。そんなんじゃ、ダメだ。ほら、持ちなさい。」といった感じで、冗談を交えながらも、いやいや持たされたことも多々あり、その度に私は「ギャアアアアアアアーー!動いたーーーーキモーーイーーー!」といって騒いで教授から逃げ、走り回っていた。そんな私を見て、周りにいたタイの研究生たちはよく笑っていた。

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サンプリング中、特に私がビックリというか、なんとも言えない気持ちになったのが、両手いっぱいにミミズを持って嬉しそうにしているタイの学生を見た時だった。ミミズは彼らの標的生物であるのだが、彼らがミミズを見つけた時の行動にはとにかく驚いた。

私がカタツムリの殻を必死に集めていると、急にタイの学生が「ニーニーニー!!!!」と叫んでみんなを呼び集め、見つけた獲物を逃がさぬよう、ものすごい勢いで素手で泥や茂みをかき分け捕まえて、嬉しそうに笑顔いっぱいでみんなに報告していた。かなり衝撃だった。ミ、ミ、ミミズ・・・!!!? いくら研究といえどもあんなにも必死になって泥まみれになってミミズを捕まえて、喜んで・・・。初め、タイの学生、おそるべしって本気で思った。

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また、初め、その光景を受け入れず、ただただ唖然としてしまっていたのを覚えている・・・。いくら研究のためといっても、なんであんなに喜べるのだろう?ミミズなのに・・・。気持ち悪い・・・。彼らをなかなか理解できなくて、私にはあんな風になれないって本気で思ったし、すごくそんなかれらの行動が初め不思議でしょうがなかった。

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でも、不思議なことに、彼らとサンプリングを1ヶ月も続けると、ミミズを見つけるのがこんなに楽しいのかと思い、気づいたら私も彼らに交えて、競争するかのようにミミズ探しに必死になった(笑)。

彼らの目的の生物は、主にミミズ、ヤスデ、ムカデ、カタツムリであった。それらを見つけるためにはどんなところでも入って行くし、石があればなんでもひっくり返す。そして掘れそうなとこがあれば掘りまくる。そんなこんなで、一日中サンプリングをしていた。(続く)


【留学概要】

1.大学(学部)間協力協定による交換留学生、信州大学理学部4年、山岸由季
2.信州大学指導教員:信州大学理学部教授、浅見崇比呂
3.留学先:チュラロンコン大学理学部(タイ、バンコク)
4.留学先指導教員:チュラロンコン大学理学部教授、ソムサク・パンハ(Somsak Panha)
5.留学期間:平成24年10月1日~12月1日
6.留学内容
(1)主な履修内容
①講義:Malacology(貝類学の起源と歴史、また軟体動物の系統分類を基礎から学ぶ。実際に貝類博物館へ出向き、標本を使っての講義)
②講義:English class(コミュニケーションに必要な英語スキルの習得)
③実習:解剖(3種のカタツムリを用いた解剖を通して、基本的な解剖学知識の習得。分類の際に特に重要となる生殖器構造を集中的に学ぶ)
④セミナー:理学部セミナー(理学部学生、及びスペシャルゲストによる研究発表の聴講、ディスカッション)
(2)サンプリング
調査地:タイ南部、東部、東北部、北部
調査内容:生物サンプリング(ミミズ、ヒル、ムカデ、カタツムリ)

文・写真提供:山岸由季(やまぎし・ゆき) チュラロンコーン大学理学部と信州大学理学部の学部間協力協定により、2012年10月1日から12月1日までチュラロンコーン大学に短期留学。Malacology(軟体動物学)と英語を履修した。2013年3月、信州大学を卒業し、日本の民間企業に就職。

日本の大学や学部が海を超えて外国の大学などと行っている知的・人的交流が「交換留学制度」。1年を超える長期のものから数ヶ月という短期までさまざまで、これまでに数多くの研究成果を挙げて来た。タイの最難関チュラロンコーン大学でも日本のいくつかの大学(学部)と協定を結び、日本人の学生を積極的に受け入れている。その中の一人、国立信州大学理学部から昨年派遣され、このほど大学を卒業した元交換留学生が、anngleのために手記を寄せてくれた。短期集中連載で一挙公開!

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