タイ南部の小さな島にあるサッカーチーム”Samui Panyee”をめぐる本当の話。この動画は1986年の実話に基づいてTMB銀行がスポンサーとなって制作された。
サッカーコートがない環境からの始まり。
タイ南部のリゾート地サムイ島。その近く、”Koh Panyee(パンイー島)”にある村は、なんと海のド真ん中。村人は海とともに暮らしている。少年たちが興味をもっていたのはテレビで放送されていたサッカー。でも海に囲まれたこの島には、練習するためのサッカーコート用のスペースはどこにもない。毎日のようにサッカー放送を見て、思いを募らせる少年たち。プロのサッカープレーヤーになりたいという気持ちを諦めることはできなかった。
自分たちで水上にサッカーコートを作る。
「サッカーコートが無ければ、自分たちで作ればいい」。そう話しかける島の老人。「君たちは何処にいると思っているんだ」とも。呆気にとられる少年たち。こうして始まった人力作業。少年たちは自分たちの手で、一つ一つ木の板を組み合わせて見事な海上サッカーコートを作り上げた。
手作りのサッカーコート。ピッチから釘が飛びして痛い思いをすることも。また、周囲をぐるりと海が囲んでいるため、スローインにも一苦労。サッカーコートができたとはいえ、恵まれない環境下にあることに違いはなかった。でも、彼らは大好きなサッカーを毎日のように続けた…。
タイ本土から一通の試合の案内が届く。
そしてある朝、タイ本土から少年たちのもとに一通の試合の案内が届く。しかし、自作の海上コートでのプレイ経験しかない少年たち。本当のサッカーコートでうまく活躍できるのかと不安になり、参加についてしばらく考え込むことになる。仲間との話し合いの結果、彼らは参加することを決意した。
島を出て試合会場に向かう当日、これまで少年たちを温かく見守ってきた老人が「これを着ていったほうがいいぞ」と、メンバーにユニフォームやサッカーシューズをプレゼント。そして、多くの島の人達に見送られながら少年たちは現地に向かった。
本物のサッカー場で挑んだトーナメント戦。
少年たちは初めて経験する本物のサッカー場での試合に緊張していたが、予想以上の活躍を果たし準決勝までコマを進める。だが、準決勝の試合開始後に予期せぬ雨に苦しまされる。彼らに与えられたサッカーシューズは一足しかなく、雨で濡れ、コートが滑って思い通りのプレイが出来ない。予想もつかなかった試合中の雨。思い通りにプレイが出来ない彼らは裸足になってピッチに立つことを決意。
調子を取り戻しなんとか試合には臨んだが、勝利することはできず、最終的に3位に終わった。応援していた島の人達は選手に向けて「自分たちに誇りをもて!」と、割れんばかりの歓喜の声援を送っていた。
少年たちは自らの力でコートを作り、リーグ3位という偉業を成し遂げた。それ以降”サムイPanyee”は実力をつけ、2004年から2010年までタイ南部のリーグ戦で連覇を達成。その成果を国に認められ、後に素晴らしいフットサルコートを設営してもらうことになる。
たとえ不十分な環境でも、目指していることが本当に好きなら、自ら行動を起こし一歩でも理想の環境に近づける。そんなことを思わされるような素晴らしい作品と言えるだろう。
Client: TMB Bank Public Company Limited, Thailand
Advertising Agency: Leo Burnett Group Thailand by Arc Worldwide
Creative Director: Sanpathit Tavijaroen
Art Director: Park Wannasiri