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新作のスライドショーと見る!タイ伝統音楽の継承者マフト・サイ氏のスゴさ。

世界で今もっとも注目されているタイ人音楽家の一人と言えば、以前、anngleでも紹介したレコードショップ“Zudrangma Records”(ズッレンマーレコーズ)の若きオーナーでもあるマフト・サイ氏。今回は、相棒のクリス氏が制作したスライドショーで、ここ数年の彼の「歴史」を振り返りたい。

タイ伝統音楽の過去

日本で演歌やフォークソングが音楽の中心だった時代、タイにも「ルクトゥン」や「モーラム」といわれる独自の伝統文化が存在していた。熱血的で楽観的なノリの音楽。早めのテンポが特徴で、旋律に合わせて身体をくゆらせ楽しむダンスミュージック。東北地方イサンでは、道端の屋台で夜通し酒を飲みながら踊り続けた時代があった。

ところが、時を経て西洋音楽が流入するようになると、かつての演歌やフォークソングがそうだったように、タイの伝統音楽も次第に下火に。伝承者たちも一人また一人と姿を消し、デジタル音楽時代の現代となっては、タイのルーツ音楽であることさえも忘れ去られるようになった。

タイの伝統音楽を現代に継承する「唯一」のタイ人

その古き良きタイのルーツ音楽(音楽文化の源)を現代に復活させるため、一番最初に立ち上がったのが紛れもないマフト氏だった。20代後半とも取れる風貌のマフト氏。だが、その若さに似つかわしくないほどの落ち着き払った態度と、桁外れなほどのパフォーマンスは、まさに脱帽の一語に尽きる。

イサン地方の田舎に自ら足を運び、少なくなった伝統音楽の伝承者たちと面会。文化遺産の継承を訴えた。画期的なのは、その伝承音楽に「著作権」の概念を持ち込んだこと。「著作権」を確立できれば伝承者たちにも現金収入が入る。金銭が入るようになれば、伝統音楽を受け継ぐ若者も増える。マフト氏はそう考えた。

マフト氏は、伝統音楽のリメイクやリミックス制作としての再販売を提案。一方で、独自のイベントを開催するなど精力的に働きかけを強めていった。これまでに、PARADAICE BANGKOKやIsan Dancehallなどのミュージックイベントも開いている。

そんな彼の才能は、過去の音楽制作者や各国のレコードコレクターからも認められ、過去に日本のテレビ番組でも紹介されているほど。今やアジアを代表する、いや世界を代表する音楽家として飛躍を遂げた。

音楽だけではない”質”へのこだわり

クラブやディスコがあまり存在しないバンコクのラマ4通りに、2009年当時、「レインドッグス」という名のイベントスペースがあった。そこから始まったのがマフト氏の音楽活動だった。イベント会場はまるで1970年代のタイの田舎の原風景。土臭さが残る異様な空間だった。

音楽と絶妙にマッチングした現場の雰囲気は、瞬く間に来場者をとりこにした。今、振り返って映像を見ても、80〜90年代頃の映像に見間違えるほど。現場の雰囲気作りにも一切妥協はしない彼なりの”こだわり”が爆発していた。

そのマフト氏が2010年のイベント(24 Track Loopというイベント)で作ったフライヤーがここにある。直感的に手抜きに見えかねないスタンプを押しただけの古いぶ厚めのわら半紙。実はこれも彼の個性の塊で、紙は中華街まで探しに行って本人が厳選した貴重な紙。

そんな何気ないポイントにも目を配り、確実なコンセプトで完璧なイベントを展開し、今なお前進し続けるタイ人音楽家マフト・サイ氏。

外国人も顔負けのタイ伝統音楽継承の今後はいかに。2013年もマフト氏から目が離せない。

初の東京ツアーのインタビューは下記のページを参照
bit.ly/XRJptx

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