私はタイに住み始めて5年以上になりますが、タイで一番感動する風景は、何と言っても「月」(お月様)です。
それも満月ではなくて、半月です。
こんなことを言う私も、タイに住み始めてしばらくの間は、月のことなど見向きもしませんでした。
えっあれなんなん?
タイの東北部(イサーン)の信号が2つしかない町に、たった一人の日本人として住み始めてから、数か月たったある日、それを見ました。タイのど田舎に住む日本人は、当然、町の有名人になりました。それで、市長、警察署長(タイの田舎ではこの2人が一番偉い人です)などともすぐに知り合いになり、その夜もパーティーに呼ばれた帰り道でした。
夜の11時ぐらいに、家に帰ろうとバイクで走っていた私は、どうも風景に違和感を感じました。やがてわかったのは、どうも「月の向きが違う」ということでした。そしてバイクを止めて、思わず、大阪弁で「あれなんなん?(あれはなんですか)」とつぶやいてしまいました。
満月の上半分がない月
その時見た月は、間違いなく半月だったんです。日本で見る半月は、満月から左(右)半分を切り取ったイメージなんですが、タイの半月は、「満月の上の半分を切り取った形」をしています。そのせいで、周りの雰囲気まで、全然違うものに見えました。正確に言うと、日本でもタイでも月の形自体は同じなんですが、日本の場合明るいとき(太陽が出ているとき)に下半分だけの月が見える位置関係になっているので、実際にはタイで見るような月は見えません。
異国を実感できる月
その月を見て、私は「あー別の国にいるんだな」と初めて実感しました。月の向きがこんなに違うのだから、この国に住んでいる人は、日本と違って当たり前だとも思いました。こんなに違う風景を見ている国なんだから、「違う文化や考え方があって当然、逆に住んでいる人たちの生活が、日本と同じわけがない」とも思いました。それから、タイの人たちのことが、だんだん受け入れられるようになりました。
タイ観光ならぜひ半月の日に
日本に住んでいる皆さんが、タイ観光に行く場合、いつが一番いいでしょうか。もしその日が選べるなら、ぜひ半月の日にタイに来てほしいと思います。そして、半月の日は、ちょっと遅めの夕食にして、ゆっくりタイの月を見てほしいと思います。
できれば、バンコクのスカイラウンジとかではなく、ちょっと田舎の観光地がお勧めです。タイの大きなお寺や遺跡のバックに、見たことがないような月が出ている風景は、まさに「なんなん」と思っていただけると思います。付け加えるなら、旅行の日程の1日は、早起きしてください。タイの朝焼けも感動的に美しいですから。