建物から木が生えている光景
ヤンゴンのダウンタウンを歩けば、あちこちでカメラのシャッターを押したくなる風景があります。まるでタイムスリップしたかのような英国統治時代を思わせる古き良き建造物がずらりと軒を並べているからです。
古い建物一見風情があっていいと思えるその建物ですが、5月から始まった雨季のまっただ中では、なんと建物の壁面からにょきにょき植物が生え、屋根から壁から苔まみれの状態に。その様子に“いやぁ植物の生命力はすごい…” などと感心している場合ではありません。
コンクリートやレンガに一度雨水が浸透してしまうと、建物の劣化は急速に進み、屋内は雨漏りざんまい。約半年間も続く雨季にあっては、ひたすらカビとの戦いです。それが毎年繰り返されているのです。
築100年の建造物を再生させよう
行政の主要部分は首都ネピドーへ移転していったあとも、ミャンマー最大都市のヤンゴンには各省庁のオフィスがあり、そのほとんどがダウンタウンに密集しています。ヤンゴン市庁舎、中央郵便局、入国管理局、どれも重厚でなかなか素敵な建物です。
残念なのが老朽化してボロボロという点。素人目に「ペンキの問題じゃない?」と思ってしまうほど、塗装の疎かなこと。ペンキ塗ったばかりという壁でも、すぐに苔が生えているし、半年もすれば剥げてきているし… 。
薄パープルのヤンゴン市庁舎というようなことは、ここ数年ヤンゴンに多数流入してきた外国人も感じていたことだと思われます。去年あたりから、塗装メーカーの看板が目立つようになってきました。例えば、「Japan No.1 KANSAI PAINT」 の看板はよく目立つ場所に掲げられています。
撥水効果の高い(防カビ効果)、優秀なペンキで塗装することで、建物の老朽化はずいぶん左右されると思います。また、コンクリートメーカーの進出も相次いでいます。
さらに、ミャンマーには建築修復に関する技術や事例も不足しているということで、去年からは京都工芸繊維大学が「ミャンマー近代建築物の修復支援」を表明しています。
ダウンタウンがカラフルな街並みへ
今年に入って、ダウンタウンが様変わり。“壁を塗り直しました”というピカピカの建物がズラリ。外壁が生まれ変わるだけで、街並みがこんなにも素敵な印象になるのか、と驚くくらい。しかし、驚くことの最大の要因は、カラーリング。色が… 。
ミャンマー人の好む色は、ミントグリーン、薄いピンク、パステルパープル、という具合で、ヤンゴンの街を歩けば、絶対にこの3色の壁を目にすることができます。住居内の壁もこの3色の確率が非常に高いです。残念な色に?いやいや、この国の人にとっては素敵にダウンタウンが化粧直し中。
以前のノスタルジックな雰囲気から一新ですが、街並みがキレイな印象になるのはやはり嬉しいことです。
これも民政移行の流れの一つの現象なのだな、と実感します。