旧暦12月の満月の夜に行われるタイ北部の伝統行事ロイカートン。収穫を祝い、水の神様に感謝の意を表すともに、日々、水を汚していることに対する贖罪の気持ちを込めて川に灯篭を流す様子は、貴重な風物詩にもなっている。タイと歴史的に兄弟関係にある隣国ラオスでもこの時期、ローカートンが盛大に実施されており、2012年の今年は、ヨーロッパの民族行事ハロウィンとちょうど開催日が重なった。ロイカートンとハロウィンが融合したラオスの街を、10月31日の夜、歩いた。
人口630万人のラオス(ラオス人民民主共和国)。メコン川沿岸にある首都ビエンチャンでは夕方から多くの市民が街に繰り出し、伝統の祭りを祝った。フランスの植民地だったラオスには、古代ケルト人の習俗であるハロウィン文化が色濃く残っている。ハロウィンは古代ケルト人の年末である10月31日に、収穫を祝い悪霊を追い払うことを目的とした古代民族行事。今年はちょうどロイカートンの実施日と重なったことで、街はごった返し、半ばカオス状態となっていた。
日系メーカーも出店!メインストリートの特設ブース
いつもなら普通に車が行き交うメコン川沿いのメインストリート。ロイカートンとハロウィンが重なった今年は、数日間にわたって歩行者天国が続いた。日本の家電メーカーHITACHIもスポンサーとして協賛。タイに本拠地を置く有名飲食メーカーや生活雑貨メーカーなども所々にブースを出店。道の両脇に設置された大きなスピーカーからは、メーカー各社のCMが威勢よく流されていた。
川沿いに置かれた特設ステージでは、地元の歌手らがラオスの伝統民族ダンスなどを披露していた。普段であれば夜間ともなると暗闇に包まれるビエンチャンの街並み。この日は考えられないくらいの盛り上がりを見せ、深夜まで多くの人々で賑わった。
名物灯籠飛ばし”コムローイ”は禁止
ロイカトーンの名物と言えば、灯篭の川流しとともに、空中に一斉に灯篭を放つ「灯篭飛ばし」が有名。ところが近年は、火災の危険性があるために年々規制が厳しくなっているという。
この日も川沿いで、宙に放たれたいくつかの灯篭を目にしたが、その数は極めてまばら。数の少なさに違和感を覚え川の近くまで行ってみると、警察官が上空に舞う灯篭を次々と破りつけ、炎を踏み消していた。尋ねてみると、失火による火災を懸念しているのだという。これも「近代化」していく国の宿命なのか。何とも悲しい気分にさせられた。
後編では変わりつつあるラオスの町並みと日系企業関連のお話、そして、15年以上続くとある屋台のお話をお送りします。