ここタイ王国バンコク市内で交通違反をしたときには、「警察官に300バーツ(約1000円)を渡せ」と言われる。罰金? 実はこれ、れっきとした賄賂なのである。いまどきそんなものがあるのかと日本から来た人は思うだろうが、タイの賄賂文化はいまでもずっと続いている。
ところが近年、Twitter や Facebook の普及でこうした警官に賄賂を渡す映像が続々流れるようになってきた。
今回、物議を呼んでいるのは下記の動画。
シートベルトや車線変更などを理由に警察が一般車やタクシーを止めて交通違反を指摘。もちろん本当に違反したかは別の話。その後、違反チケットを切るような素振りを見せながら、警察は窓越しに300バーツほどのお金を素早く受け取るところがしっかり写っている。
この動画に映っている警官は「警察少将」という国王任官の高等官。本来、各管轄で下士官と呼ばれる大臣任官の警察員たちを管理する重役が、個人のポケットマネーや上司への上納金としてお金集める。これは大昔からまったく変わらないタイの警察文化なのだ。
彼ら警官たちはたとえ自分たちが人身事故を起こしても、保険会社に圧力をかけ、事件をなかったコトにするとも言われる。
こうした賄賂文化のおかげでタイ人たちの規範意識もあがらず、少々の事故や違反は車を持つくらいの収入や資産があれば「はした金」ですませてしまうのが定着している。お金持ちであれば警察にたんまりと賄賂を渡すことで死亡事故すらなかったことにするのはよく知られている。昨年レッドブル創業者の孫が高級車で人を轢き殺した事故も、被害者が警官だったので明るみに出たが、市民だったら隠蔽されていただろう。警察に対する信用はもはや無いも同然だ。
このように賄賂動画がネットで出回るようになった時代でも、見てるのか見えてないのか変わらず警官は賄賂を受け取り続けている。警察だけじゃない。役所もなにもかも賄賂が横行し、賄賂なくては何も始めることもできないのは発展途上国にはよくあることなのだ。
近年、日本から進出してくる企業は増加傾向にある。潔癖症の日本人に、この国の「現実」は耐えられるだろうか。清濁あわせもてる人材を送り込めるだろうか。