タイで独自の進化を遂げるGRAB(グラブ)
ソフトバンクも出資するシンガポール発のIT企業GRAB(グラブ)は、2015年のタイ進出以降、タクシー配送サービスを中心に様々なインターネットサービスを展開。最近ではフードデリバリーや電子決済なども始まり、バンコクで快適に生活するための必須アプリとして定着した。
そんな中、“人命救助の役割も果たすネットサービス”として、タイ国内のメディアやSNSで再び注目を浴びている。
事例1-渋滞時に息子の体調が悪化、宅配バイクが病院へ搬送
先日、FacebookユーザーのPloy Loy M.Kaewさんが投稿した動画には、体調に異変が起きた息子を車で病院に運ぼうとしたが、渋滞で車が進まず、息子がけいれんを起こす様子が映っていた。
そこにたまたま通り掛かった「Grab Food」のバイク運転手を両親が呼び止め、運転手が息子と母親を後部に乗せて病院に送り届けたという。息子は治療中だが、命に別状はなかった。
一方、ピザを宅配する途中だったバイク運転手は、行き先を急きょ病院に変更。ピザはぐちゃぐちゃになってしまったが、事情を把握した店側は運転手の代わりに注文客に責任を取ることを表明し、インターネット上では称賛の声が相次いだ。
事例2-体調不良の男性に宅配バイクが薬と冷却ジェルシートを運ぶ
9月14日には一般タイ人男性が体調不良で外出出来なかったため「Grab Food」のアプリを使ってジョーク(お粥)を注文。重度の風邪で寝込んでいた彼は、オーダーした際に「高熱なのでコンビニで冷却ジェルシートを買ってきてくれませんか?」とメッセージを送った。
もちろん本来であればアプリは常時監視されているため、業務外サービスということで日本なら即時断られるリクエスト。しかし、宅配ドライバーは男性のLINE IDを確認し「その他、必要なものはないですか?」と返信。男性は続けざまに「できたら風邪薬もお願いできますか?…」と答えたところ配送ドライバーは即了承。屋台でお粥を受けとったあと、コンビニに立ち寄り、冷却ジェルシートと風邪薬を購入して自宅へ届けた。
宅配ドライバーのサービス精神に感動した男性は、それらのエピソードをツイッターに投稿。一日で5万人を超えるユーザーがリツートし、話題となった。
助け合い精神が根付いているタイ人
不意な事故に巻き込まれた人を助けるためには、周囲から目立ったり時間を削ることになるが、辛い思いをしている当人を考えるだけで自然に動けるようになる。
先日、日本では”日本人は「助け合い」が嫌いだった?国際比較で見る驚きの事実”という記事が話題になっていたが、仏教の“助け合い精神”が根付いているタイでは普段からこうしてまったく逆の事が起きている。
source:Kapook