ハンバーグといえば、「丸大ハンバーグ」。自分の記憶のはるか向こうに思い出されるハンバーグはこれだった。いま思えば、なんであんなものをありがたがってたのかと思うほどのシロモノ。柔らかすぎの煮込み系ハンバーグは、肉々しさもジューシーな肉汁とも無縁の食感だった。CMでは巨大なオジさんが「ハイリ ハイリ フレ ハイリホー… 大きくなれヨォー」と声を掛けてくれていたけど、どうもあのオジさんが丸大ハンバーグを食べて大きくなったとは思えない食物。
丸大ハンバーグを子供の頃食べていた反動からかもしれないが、自分にとってハンバーグの理想形は、つなぎが少なく肉々しい食感重視の ハンバーグになった。お箸で切れるとか、じっくり煮込んだとかではなく、ナイフとフォークがないと食べにくいくらいの肉肉しさで、ワシワシ噛みながら食べるのがベスト。かけるソースはもちろん褐色のデミグラスソース。
最近、バンコクの日本食レストランにも純和風ではない「日本の洋食屋さん」的なお店が段々と出来てきてはいるが、ハンバーグに関しては、なかなか理想のお店に出会えない。つなぎが多過ぎて絹ごし豆腐のようだったり、ソースが甘々でケチャッピーだったり、自分の味覚は間違ってたのかと自己嫌悪感に襲われるくらいのレベル。
洋々亭
今年の1月にオープンしたばかり、元々ラーメン屋の眠眠があった場所に出来たお店。店内はほぼ居抜きで厨房もラーメン屋のまま。それでも、あまりお金をかけない範囲で洋食屋の雰囲気を出すことに成功していると感じられる店内。
まさに「日本の洋食屋」さんを体験できるお店。肉々しいハンバーグのパテも定番のデミグラスソースもかなりイイ感じ。付け合せの温野菜やポテトもまさにそこにあるべきものがそこにあるように置かれている。なかなかケチのつけようがない仕上がり。
洋々亭は他のメニューも洋食屋さんにあるべきメニューがちゃんと揃ってる。ミートソースやナポリタンのスパゲッティ類。ドリア、グラタン、オムライスなどなど。しかも、それぞれの料理が自分が洋食屋に抱くとおりの味に仕上がって出てくる。このお店は大切にしたい。
en
グリルレストラン「en」はタニヤの裏道にひっそりとたたずむ小さな洋食屋さん。店内には大きめの鉄板焼きカウンターがあり、夜のメニューも期待できそうだけど、ランチに訪問。メニューはハンバーグ以外にカレーライス、オムライス、ハヤシライスなどの洋食系セットがラインアップされる。
写真の品は「王道ハンバーグ」と言うセット。ハンバーグには目玉焼きが載っかって登場。この目玉焼きの半熟加減が嬉しい。付け合せはキャベツとナポリタン(具なしの素ナポ)でなんだか、これも嬉し懐かしな演出。
ハンバーグのパテはやはり肉々しさを重視したタイプで、中心部がイイ感じでレアに焼き上がった中からは肉汁がジワッと出てくる好印象な食感。濃い目の褐色のデミグラスソースも甘さのない大人の味。全体的な印象としてもまさに王道の名の通り正しいハンバーグ。
日本亭
日本の皇族も来タイ時は訪れる、タイの日本食レストランの老舗「日本亭」。ここでも日本の洋食的なハンバーグを出してくれる。メニューの名は「タイフレンチビーフ 粗挽きハンバーグ膳」。
焼いた鉄板の上に鎮座するパテはかなりボリューミーなのに煮込みではないところに注目。しかも、中を割ってみると、ジューシーな肉汁とともに現れた中心部はほんのりピンク色のミディアムレア。料理人の経験と厨房設備が整っていることを感じさせる出来栄え。
SIZZLER
日本の洋食とは別の角度ながら、タイに肉食文化を広めるお店、カリフォルニア生まれのステーキハウス「シズラー」。アメリカで200店舗、タイ国内で30店舗以上、タイを含む日本、中国、オーストラリアなどアメリカ以外にも350店舗を展開する。日本では「ロイヤルホスト」のロイヤルが経営する。
ここで出されるハンバーグは「Teriyaki Chopped Steak」と名付けられ、その名の通りアメリカ生まれの肉々しさのみを追求したようなパテが特徴。日本的な繊細さは微塵もなく、肉汁のジューシーさも期待できない。まな板の上に置いた半端肉を包丁で叩いたような荒っぽい塊にグレービーソースをドバっと掛けてワシワシ食べるのが正解。
食べ放題のサラダバーを腹いっぱい食べながら、顎の肉のトレーニングをしたい時にはうってつけのお店。
大戸屋
タイに大戸屋が登場してから今年で7年。いまやタイの日本食レストランのベンチマークとなったと言ってもいいかもしれない。”日本の家庭料理”をキーワードに展開するメニューには純和食系のメニューだけでなく洋食系のメニューも数多く揃えている。もちろんその中で定番として君臨するのがハンバーグ。
「炭火焼きハンバーグの特製和風デミソース定食」はフライパンでもなく、鉄板でもなく炭火焼グリルで焼いたハンバーグにデミグラスソースをかけた一品。キノコと玉ねぎはソースに絡めないで、別に炒めて添えてくれたほうが嬉しいけど、しっかりした食感と風味のパテはなかなかのもの。