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食こそ冒険なり!バンコクで豚のおっぱいを焼く

食こそ冒険なり!バンコクで豚のおっぱいを焼く

イサーン料理店『ノーン カーイ』のムーガタ(エカマイ23)

またやってしまった…

爽やかに迎えたいはずの休日の朝なのに未だ残る満腹感。目覚めてもなお胃に何かが滞留し腸には刺す様な痛みが…辛い物をたべた翌日に必ずくるアレだ。こんな日は決まってトイレのそばから離れられず、ほぼ一日を棒に振る事になる。カプサイシンに胃腸を翻弄されつつ昨夜の記憶の糸を手繰る。

そうだ、土曜日はゲストの入りも早いが引きも早い。0:45に店を締め、スタッフを引き連れて行ったのだった。いつものあの店に。

店の名前は『ノーン カーイ』

クラブ帰りの若者で賑わうエカマイ通りを北に進むと、ペッブリー通りに抜ける橋の手前あたりで煌々とした明かりが目に入る。ちょうどエカマイ 23の角、植え込みに沿う様に結構な数のテーブルが歩道上に並べられている。店の名前は『ノーン カーイ』

ノーンカーイ
ノーンカーイ

タイの北東部、ラオスの首都ビエンチャンと国境を接するイサーン地方の町の名を冠している。まもなく深夜1時になろうというのに誘蛾灯に群がる羽虫のように客足が途絶える事は無い。この時間帯、メインの客層は仕事終わりの飲食関係者やカラオケ嬢。どちらもイサーン出身者が多い業界だ。月末の給料日直後ともなると深夜帯でも満席で座れない事がある。

タイのイサーン料理というカテゴリー

初めてこの店を知ったのはもう10年以上前になる。当時勤めていたレストランのスタッフに連れられて来たのがきっかけだ。僕はここで初めてイサーン料理というカテゴリーを知った。ココナッツミルクや油をあまり使わないため日本人の味覚にも馴染み易いが、唐辛子を多用するので辛い料理が多い。当時はエカマイ通りのソイ28と30の間のガソリンスタンドの跡地で営業していた。照明は薄暗くトイレはまさに廃墟のそれだった。

今の場所に移転して随分と経つが数年前に経営も変わったようだ。噂では数千万バーツで売却されたとか。ここの人気メニューがムーガタ(直訳すると豚鍋)、韓国料理がオリジナルらしい。鍋はメキシコ帽のような独特な形状。盛り上がった中央部で肉を焼き、スープが張られた縁の部分でしゃぶしゃぶができる。同時に2種類の調理法が楽しめるハイブリッドな構造だ。

鍋はメキシコ帽のような形状
鍋はメキシコ帽のような形状

オススメは“ノム”=豚のおっぱい

注文を入れるとスタッフが炭火のコンロを二股の金棒で挟んで持ってくる。その上に専用の鍋が置かれ、縁にはヤカンからなみなみとスープが注がれる。

周りにはスープ
鍋の縁にスープ

メインの具材は豚やシーフードが一般的だが、僕がオススメしたいのは“ノム”=豚のおっぱいだ。肉にはコラーゲン質のサシが入り食感はムチムチ、コリコリ。噛むほどに旨味が広がり、通常の豚肉と比べると格段に味わい深い。

“ノム”=豚のおっぱい
“ノム”=豚のおっぱい

肉が来たらまずは生卵を絡め周りをコーティング。次に鍋の頂に鎮座するラードをしっかりと鍋肌に馴染ませ、肉が滑り落ちないように丁寧に並べる。卵が焦げないように注意しながら両面を焼き上げ、甘辛のタレを付けて召し上がれ。

卵とあわせて焼く
卵が焦げないように
これがうまい
通常の豚肉と比べると格段に味わい深い。

試してもらいたい技

せっかちさんは片面だけ焼いてスープにしゃぶしゃぶして食べるのもOK。こんな食べ方ができるのもムーガタならではの醍醐味だ。スープは顆粒のものをお湯で溶かしただけと思われる淡白な味つけなので自身で味を整えてほしい。手始めに白菜の芯、チャイニーズセロリ、人参など付け合わせの野菜から甘味、香味の素になりそうなものをチョイスして投入しよう。

さらに是非試してもらいたい技がある。

肉を焼いていくと鍋に残る焦げ跡。そこが黒こげになる前にレンゲでスープをかけてふやかし、箸でこそげ落としてスープに溶かし込むのだ。タンパク質が焼けた時に生じるメイラード反応でスープの旨味がぐっと増す。このスープに焼いたもち米を浮かべて食すのも一興、ウンセン(春雨)に吸わせれば最高のシメになる。

サイドディッシュと合うお酒・・・

サイドディッシュの定番はソムタム プー パラーと生肉のラーブ。ソムタムは“マイペット”(辛くしないで)と言ってもかなり辛い。パパイヤが赤い。ラーブ(生肉を注文の際はあくまでもOwn Risk =自己責任でお願いしたい)は爽やかにミントが薫り、砕いた焼き米が香ばしく食感も楽しい。が、これも辛い。口の中の火照りを冷ますためについつい酒が進んでしまう。合わせる酒は持ち込んだ赤ワインのソーダ割り、からのウィスキーソーダが僕の定番。

酒のつまみに最高のラープ
酒のつまみに最高のラープ

酒に食欲を刺激されて肉に箸が進み、肉の消化を促すソムタムにまた手が伸びる。辛さを癒すためにまた酒を流し込む。この『ゾーン』に入ってしまうと翌日は廃人のごとく使い物にならなくなるのは確実だ。

口をさっぱりさせるソムタム
口をさっぱりさせるソムタム

酒好き冒険者たちよ

「ノーン カーイ」は一応店舗の体裁をとっているが衛生面はほぼ屋台と変わらない。トイレは比較的キレイだが冷蔵庫は無く、食器は子供用のプールのようなタライでガチャガチャ洗っている。安い店なので多くを求めてはいけない。(いくら払ったのか毎回記憶に無いが)リスクを受け入れる覚悟のある食の冒険者達は是非挑戦してもらいたい。

安い店なので多くを求めてはいけない。
安い店なので多くを求めてはいけない。

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