タイ国内にはたとえ小さな村でも必ず寺院があり、オレンジ色の黄衣をまとった僧侶を見かけることができる。寺院は僧侶が修行をしたり、祈りを捧げる場所としてだけでなく「集会所や学校の役割」を果たすなど、タイの人々の生活に密接に関わっている重要なシンボル。
しかし、このお寺について色々と調べてみると、ちょっとユニークなお寺も存在する。それが、お寺の装飾などに近代的なイメージを用いた「キャラクター寺」。
仏陀がアメコミ・キャラと日本のアニメキャラクターに説教!?
先日、タイのノンタブリー県にある山道を歩いていた男性が偶然に撮影した写真がFacebookで話題になっていた。
「仏教寺院の壁に描かれたお気に入りのアニメヒーローです!」と書かれたポストには、とある寺院の壁画日本とアメリカの有名キャラクターが映っている。
偶然撮影されたアメコミキャラと日本のアニメの寺壁画
アメコミキャラクターからは、バットマン、スーパーマン、スパイダーマン、ハルク、キャプテンアメリカなど。日本のアニメからは、仮面ライダー、ウルトラマン、一休さん、ドラえもんなど、日米のキャラクターが揃って座禅を組み仏陀の説教を聞いて妄想中の壁画。※スティーブやベッカム!?の存在とかは意味不明
写真は偶然に撮影されため細かな場所は特定されてないが、撮影者本人は「これはきっと参拝者を増やす大きな要因になる、特に子供とオタクにとっては最高の作品だね」と絶賛。
そんな話を聞くと長い歴史を持つ「タイの仏教」自体が真剣なのか、フザケているのか、よくわからない感じになりますが、実は寺装飾に近代キャラクターを取り入れることについては、それなりの理由もあるようです。
「ドラえもん寺」に見る現代お坊さんのアイデア
バンコクから北に約100キロほど離れたスパンブリという地域にある通称「ドラえもん寺」。メインのお堂の前後左右の立派な壁画の中にドラえもんがさり気なく書き込まれていることで、2011年頃にタイ国内でも話題になりました。
以前、その場所を訪れた知人の話によると、「寺のお坊さんが現代における子供のお寺離れをなんとかしたいと言う思いから、以前にお堂を改修した際にドラえもんを何体か忍ばせるようにお願いした。」ということ、そんな奇抜なお坊さんの発想は見事に的中し、タイ人の国内バスツアー客がお参りスポットとして立ち寄ってくれるようになったとか。
日本の同様にタイでも成人になると若者が都会に向かうという動きがあり、同時にそれは生活の中で重要だった仏教やお参りが生活から遠ざかるという文化衰退の原因にもなっている。そういった中で、古き好き文化を継承するためにも寺の住職は「トンチ」をきかしているということ。
依然としてコピーライトは完全無視ですが、けして悪ふざけではなく、良き文化継承の精神にもとづいたタイのお坊さんのアイデアがそこにある。