さまざまな政府機関、民間研究機関などが発表している「指数ランキング」。十分納得できるものも、おや「?」と小首を傾げたくなるものも実に多様。ひとたびインターネットで打ち込めば、あれよあれよと豊富なデータが検索できるありがたい世の中。あまりに多すぎて目移りがしそう。その中で、最近、とみに取り上げられる機会の多い6データを比較してみた。一挙公開!
①オーストラリアの国際研究機関「経済平和研究所」が毎年公表している「Global Peace Index」から抽出したのが「平和度指数ランキング」。治安、紛争、軍事を中心に23項目、158カ国が調査対象。北欧諸国やカナダが上位に入った。民族紛争や宗教問題とは無縁の日本も上位ランクイン。タイは深南部3県の宗教対立などが原因で下位となっているようだ。
②「報道の自由度ランキング」は、ジャーナリストによる非政府国際組織「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」が毎年公表する「World press freedom index」が元データ。記者に対する身体拘束やメディア規制、検閲などを評価の対象としている。179カ国。こちらも北欧を中心に欧州勢が上位を占める。原子力事故の情報規制と記者クラブ問題で日本は53位に急落。タイはかなりの下位だが、実際に現場で取材する一人として「パイ・ペン・ライ」気質が加味されていないような気がしてならない。
③「人間開発指数ランキング」は、国連の補助機関「国連開発計画」のデータ。187カ国を対象に、平均余命、識字率、就学率、国内総生産などを指数化している。先進国と途上国との区分の根拠にも用いられる。上位には北欧、北米諸国が名を連ねる。現在、先進国と途上国のボーダーは47位前後。東南アジアでは、シンガポールが26位、マレーシアが61位で先進国入りをうかがう。
④ドイツの非政府組織「Transparency International」が調査したデータから抜き出したのが「腐敗認識指数ランキング」。自国の公務員や政治家がどの程度、腐敗しているのかの認識を数値化した。182カ国が調査対象。最も清潔な状態を10として、数値が低くなると腐敗していることを現す。7割の国が5未満だが、日本やアメリカも決して高くない。タイや中国は下位に低迷している。
⑤「自殺者ランキング」もよく目にするデータ。世界保健機関(WHO)のまとめた人口10万人あたりを指数化。トップは芸能人らの自殺が相次ぐ韓国。旧ソ連邦諸国と日本が上位を占める。一方、タイやアメリカは日本の3分の1~2分の1以下。年間3万人以上が自ら命を絶つ日本では喫緊の対応課題とされている。イスラム諸国では自殺そのものが宗教上禁止されている。
⑥ヒマラヤ山脈の麓「ブータン王国」の事例ですっかり知られるようになったのが「地球幸福度指数」。イギリスの環境保護団体「Friends of the Earth」が、国民の満足度や環境への負荷などを「The Happy Planet Index」として指数化してから世界に広まった。151カ国が対象。従来の経済指標であるGDPや「人間開発指数」とは異なった文明の持続性を測る新たな指標として注目を集めている。タイは20位に位置。日本と中国は中位。アメリカは最下位グループで低迷している。
さまざまな統計データを元に、タイと日本、タイと世界を比較するコーナー。題して「数字で見るタイ事情」。ビジネスや経済ネタだけに限らず、タイ社会のちょっとした話題をご提供。不定期掲載。