タイの主力農産物の一つサトウキビ。その生産減少が来年以降も続く見通しであることが分かった。タイ製糖協会(Thai Sugar Millers Corporation)によると、2012/13年度(10月~翌9月)のサトウキビの生産量は最大でも9500万トンに止どまり、前年度に続いて2年連続して1億トンを割り込む公算が高いという。
背景にあるのは、産地の一つ東北部などで起こった干ばつと、今年4月から実施された最低賃金の引き上げ、それに慢性的な労働力不足など。生産コストはこの1年余りの間にトンあたり250バーツ(約650円)も上昇しており、来年以降はさらに高負担となる見込み。
タイのサトウキビ生産量は、2000年代以降、2009/10年度まで年5000~7000万トン台で推移していたが、国際的な砂糖価格の上昇から2010/11年度に一気に1億トン余りに増加。2011/12年度はやや減って9800万トンだった。
タイはブラジルに次ぐ世界第2位の砂糖輸出国。日本にも2011年統計で100万トン余りを輸出した。次のグラフは、日本から見た国産と輸入量の割合と、輸入国別のデータ。国内の菓子業界などはタイに大きく依存している。
それだけに、タイのサトウキビ生産量が減少することは日本にとっても決して他人事ではないはず。国際砂糖機関(International Sugar Organizaition)の報告によると、人口増が続くインドや、世界最大の人口を抱える中国では砂糖の消費量が増え、2020年の世界の砂糖消費量は2億トン以上になるとの予測も。こうした国々が経済力を背景に高値で砂糖を買い占めた場合、日本への供給が減る事態にもなりかねない。
たかが砂糖、なれど砂糖。クリスマスケーキのシーズンを前に、ちょっぴり不安なニュースでごめんなさい――。