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タイにもある負の遺産!知られざる環境悪化、公害被害

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澄み渡るような青い空、エメラルドグリーンの透明感あふれる海。そんな美しい自然を求めてタイに旅行に訪れる読者も多いはず。せっかくの休日、綺麗な海岸を恋人と二人で歩いてみたい…。ロマンチックな想いでいるところに水を差すようで恐縮だが、今回はタイにも厳然と存在する環境悪化、公害のお話し――。

タイの海が汚れ始めている!

碧く輝く水面という印象が強いタイ観光地の海だが、急激に水質悪化が進んでいることをご存じだろうか。日本人にもよく知られたプーケット島カロンビーチやクラビ県ピーピー島、ラヨーン県サメット島…。こうした一流の観光地の海の汚濁が深刻化している。

タイの天然資源・環境省が毎年行っている定点観測調査がある。昨年の調査でこれら観光地の海は従来の「非常に良い」から軒並み「良い」に格下げとなっていたことが分かった。この結果、タイ国内の観測地点で「非常に良い」とされた海は一箇所もなくなり、「良い」が15%、「普通」が78%に。ここ数年で急激に汚染が進んだ。

海ばかりではない。チャオプラヤー川など主要河川の汚染は引き続き深刻で、海と同様に「非常に良い」とされた水質の川はタイ国内には一つも存在しなかった。また、大気汚染も首都バンコクや東部の工業地帯を抱えるラヨーン県などで改善の見込みが低いことも分かった。

カレン族の森では鉛中毒の被害が!

Kanchanaburi (2)

こうした中、各地で住民が公害被害を訴えるケースも出ている。バンコクから西方に150キロ。ミャンマーとの国境、泰緬鉄道で知られるカンチャナブリー県。森林の合間を縫うように流れる無数の滝で有名な避暑地での被害は深刻だった。

バンコクから鉄道で4時間半の距離にあるこの風光明媚な土地に、公害被害が表面化したのはほんの10数年前。トンパプム郡にある少数民族カレン族の村で鉛中毒を訴える患者が急増。調査の結果、近くに建設された鉱山工場からの排水に鉛成分が含まれていたことが分かった。

患者らは9年前に国を相手に一斉提訴。その訴訟の判決が今年初め、タイ中央行政裁判所で言い渡された。結果は患者らの勝訴。一人あたり約18万バーツ、総額約390万バーツ(約1300万円)の損害賠償の支払いが命じられた。だが、完全浄化までの道筋は示されず、住民らは引き続き不安な日々を送っている。

日本の円借款も公害の原因に?

Map Ta Phut (1)

日本企業が〝関与〟した公害事例もある。東部ラヨーン県にあるマープタープット工業団地。1300億円を超える日本からの円借款で建設された同工業団地。1990年の完成後、10年も経たないうちに深刻な大気汚染、生活用水汚染に見舞われるようになった。

団地内にある学校では児童や教師が「原因不明」の呼吸器不全で入院する騒ぎとなり、環境保護団体などがタイ政府や日本企業に対策を求める事態に。だが、タイ政府の腰は重く、主たる原因をもたらした日本企業もタイ側に対応を「丸投げ」するだけで遅々として進まなかった。

Map Ta Phut (5)

ようやく対策が講じられるようになったのは2007年になってから。住民側が起こした行政訴訟がきっかけだった。タイの中央行政裁判所が事業凍結の仮処分を認める判断を下したのは、それから2年後。ようやく解決への緒が見えるようになった。

だが、その後も凍結の部分解除をめぐって事業者側と住民サイドの対立は続いている。一連の公害問題を調査してきた東京大学公共政策大学院の調査チームは「援助が必ずしも現地の人たちの生活や健康を最優先に考えているわけではない現状を示している」とリポートで結んでいる。

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