タイ最大の難民施設「メーラ難民キャンプ」を県内に持つタイ・ターク県と、隣接するミャンマー・カレン州ミャワディ間の国境貿易が活発で、今年は過去最高規模に達することが分かった。
ターク県メーソート郡の貿易担当者によると、すでに5月までに国境貿易額は総額210億バーツ(約525億円)に達し、前年同期を2割~3割近く上回っているという。通年では400億バーツ(1000億円)に届く可能性もあるという。
タイからは燃料や日用品などが、一方、ミャンマーからは装飾品、木製家具、水牛、乳牛、農産物などがタイ側に輸入されている。
メーラ難民キャンプにある商店。思いのほか、品数は豊富だ。背景には、タイ、ミャンマー両国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)の貿易自由化策がある。ASEANでは2015年に経済共同体(AEC)を発足させる方針で、両国で実施に向けた準備が進められている。
このうち、ミャンマー政府はミヤワディを経済特区と指定し、同地内で大規模な工業団地の計画を推進。
一方、タイ側でも消費財大手のサハ・グループや英系ディスカウントストア「テスコロータス」が国境近郊への進出に強い意欲を示しており、工場や店舗の年内オープンを目指している。この結果、タイ側の公示地価が年10数%も上昇した地点があり、土地の高騰が新たな社会問題ともなっている。
ミャンマーでは長期間にわたる軍事政権とカレン族との内戦から3万人を超える難民がターク県などタイ側に流出。断続的に国境が封鎖されるなど緊張状態が続いていた。メーソート郡とカレン州ミャワディの国境も昨年12月に約1年半年ぶりに再開されたばかりで、5月には民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏がタイ側のカレン族キャンプなどを訪問していた。