今回はバンコクのショッピングモール「セントラルラマ9」で開催された日本旅行EXPOでの現地ルポです。
タイ人の日本旅行フィーバーについて既にご存知な有り難い読者様は多いかと思います。関連記事についてはこちら。
日本の地方自治体や企業の対応
出店者はJTB社やHIS社がメインかと思いきや、北海道から沖縄まで日本の国内観光地として代表する地方自治体や近畿日本鉄道(近鉄)のような大手私鉄コングロマリット数社、東京ディズニーランド、JetStarのようなLLCから従来の大手航空会社ThaiAirways、そして長年タイに進出しているリテール事業の雄AEONなど、ラインアップを取り揃えた日本政府観光局が主幹事のような展示会だった。
日本でもタイ語の語学能力が活かせる時代に
各出展者が置いているパンフレットは全てタイ語であった。タイ語の語学能力を持つことが、日本国内でも職につながるチャンスが増えたことも筆者としては驚きである。
以前の日本は、日本人と既婚者でも外国人は定期的に在住ビザを更新しなければならず、しかも不便な場所にあり、タイ人の母の為に2時間以上のドライブに行っていた幼少の記憶がある。
父は仕事を休まなければならない仕事であったし、筆者は車酔いと必死に戦っていたし、母親は「超めんどくせー」って感じだったと思う。それから20数年後に政策が変わるだなんて、父も母も当時は想像できなかったであろう。
オールドスクールからの学びは大きい
さて、イオンは素晴らしい日系企業だと思う。84年にタイにジャスコとして進出し一時期は繁栄していたかも知れないが大丸やSOGO、ヤオハンのように衰退するも事業再生手続きを申請し、現在は「MAX VALUE」として約40店舗以上をタイ国内で営業している。リテールファイナンス事業も営みイオンタナシンサップとして2001年にタイ証券取引所に上場している。97年のアジア経済危機から4年後だ。
その当時に信託銀行でアナリストをしていた友達(というか大先輩です)から聞いた話だが、バイサイドとしてイオン経営者にインタビューをした際、経済が鈍いタイに進出している理由を伺ったら、「現地の与信データを自分達で蓄積するため。自分達で作るノウハウが強さになる」とのご回答をいただいたそう。この日本魂は日系人として大切にしていきたいDNAだ。
今の大手日本企業はM&Aにより海外展開の一歩を踏むことが潮流だが、事業主になったとしても「現地を知る」という勤勉さが無ければ優秀な現地人材は抜けて行き、魂無き事業、即ち買収した事業は衰退していってしまうであろう。
「世界に出たい」という人類の夢
最後に筆者はグローバライゼーションと自由競争経済の信者である。それを否定する者の生き場を無くしたり、地球温暖化など負の側面はあるものの、タイ人にビザ解放が実現するなど、人間同士が平等になるインセンティブや道徳感が生まれ世界が理想に近づくからである。
そして何よりフロンティアを開拓するという願望は、人間が古来より持つ本能なのだ。「世界に出たい」という自分の夢に向かって動いた人、坂本龍馬もそんな本能と正直に時代を生きたのであろう。