今回はローカル社員から見た駐在員の話です。ちょっと真面目な、厳しめのお話。
私たちはお世話係ではない
先日、同僚(タイ人女性)からこんなことを言われました。「Aさん(駐在員・管理職)はいつまでたってもやるべき仕事を理解してくれない。英語ができないのか、それともわかる気がないのか知らないけど、いい加減にしてほしい」
彼女は非常に優秀な社員です。勤続年数も長く、会社の状況もしっかり理解していますし、歴代の社長からの信頼の篤さは彼女のポジションにも表れています。では、なぜ、このようなことが起きるのでしょう。
ここはタイ、日本ではない
日本と同じやり方を持ち込んでも、ここはタイなのでうまくいくとは限りません。海外の組織は職能別に分けられていることが多く、それぞれのスタッフは自分の持ち場でプライドをもって、その分野のプロフェッショナルとしてお仕事に臨んでいます。タイの法令を理解し、税務署や各省庁からの要請や指摘をきちんとクリアするために何をすべきか、取引先のタイ人担当者といかに密にそして円滑にコミュニケーションを行ってビジネスを遂行するか、それはタイ人スタッフの仕事です。
リーダーたるもの名前を覚えるべし
では、日本人駐在員が果たすべき役割・求められている役割というのはなんでしょうか。少なくとも私自身が経験している限りでは、組織を牽引し、責任をもって日本とのパイプ役になってくれることを期待しています。ついつい目先のことにとらわれて長期的視点を忘れがちなタイ人スタッフを励まし、長い目をもって育成し、本社の望むようなトップの望むようなビジネススタイルを定着させるというのが日系企業の駐在員に求められているミッションだと思います。 たとえ「育成期間だから」と本社が送り込んだ人材でも、ローカルスタッフより役職は上。それなりの働きと責任を期待されて当然です。そしてモチベーターとしてチームに良い影響を与え続けること、チームのリーダーとしていいエネルギーを回し続けること。
「日本では6人ほどのチームを率いていたけれど、タイにきたら部下が40人に増えちゃってどうしたらいいかわからない」なんていう話も聞きます。突然大勢の部下をもってどうしていいか悩んでいる人は多いでしょう。私が知るある人は「どうせ全員を掌握するのは無理だから」と前置きしたうえで「キーパーソンを中心にしていくつかに分けてまとめさせる」「スタッフ全員の名前は覚える」「書類にサインを求めてきたときは無言で返すのではなく、必ずひとこと言葉を交わす」を実行していました。タイ人の長い名前とニックネームを覚えるだけでも大変ですけどね。
喋らなければわからない
スタッフとのコミュニケーションをいかに円滑にかつポジティブに行えるか。語学はそのためのツール。日本人同士で固まって、日本語だけを話し、スタッフとのダイレクトなコミュニケーションをおろそかにした結果、気づけばチームはバラバラで誰も仕事をしたがらない…のも仕方ないです。そんなチームのために自分が責任取るのも面白くない、ですよね?せっかくのタイ生活、マネジメント理論を実践する場ととらえ、タイ語を学んだり、タイのローカルニュースに親しんでスタッフとの相互理解の一助としてはいかがでしょうか。
どうせやるなら、楽しく仕事したほうがいいし、気持ちよく「おまえたちのために!」って責任持つほうがカッコイイし、部下もその背中は思ってる以上に見てますよ。