遺産分割協議書について
亡くなった人の遺産に預金があると、銀行で亡くなった方の名義の預金は引き出せなくなります。日本の場合は、相続人が『遺産分割協議書』を銀行に持っていくと、預金引き出しに応じてもらえます。ところが、タイでは預金金額によっては『遺産分割協議書』を持っていっても引き出しに応じてもらえない事があります。
日本の場合
亡くなった方の遺産に預金があると、日本では相続人は銀行に以下のものを持っていきます。(※銀行により違いはあります)
- 1.遺産分割協議書
- 2.被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本
- 3.相続人全員の戸籍謄本
- 4.相続人全員の印鑑証明書
これにより、本当の相続人である事を銀行に証明する事ができるため、亡くなった方の預金を引き出す事ができるのです。
タイの場合
タイの銀行に預金がある日本人が亡くなると、タイの銀行は『遺産相続執行者』を選任しないと預金を引き出す事ができません。遺産相続執行者を選任するには、相続人が以下の書類を用意して、裁判所で申し立てを行います。
- 1.被相続人の身分証明書
- 2.申立人の身分証明書
- 3.死亡登録証
- 4.遺産リスト(土地権利書、銀行通帳等)
- 5.相続人リスト
- 6.相続人の同意書
つまりタイでは『遺産分割協議書』があっても、銀行で亡くなった方の預金を下す事ができないため、裁判所に『遺産相続執行者』を選任する必要があり、非常に面倒なのです。
タイでの相続リスク
日本では被相続人が亡くなってから、10ヶ月までの間に相続税申告書を国税庁に提出し、納税しなければなりません。これはタイに財産がある被相続人が亡くなった場合も同様で、タイの財産と日本の財産を合算して、日本の国税庁に申告、納税しなければなりません。
ところが、タイの預金を引き出せないため、日本の国税庁に相続税申告はできるのですが、お金がなくて、納税ができないのです。これは、タイで『遺産相続執行者』を裁判所が選任する迄の時間が長いので、タイの銀行に預金があっても、相続税の納付に間に合わないためです。
結局銀行からの借入で当座を当座を凌ぎましたが、タイの銀行に預金の遺産がある場合は、なるべく早く裁判所に『遺産相続執行者』の選任を申し立ててください。