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タイで年金生活を夢見る人たちに

年金タイ生活
©gentosha-go
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先日、こんな本を読みました。

『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』

この本に登場する男性たちの多くは、フィリピンパブで知り合った女性を追いかけてフィリピンに渡った人たちです。女性との生活を夢見て渡航したものの、所持金を使い果たし、ホームレス状態になって大使館に駆け込むも援助を断られ(大使館にも言い分はあるので一方的に非難もできません)ビザが切れたままフィリピンの人たち(主に貧困層)に支えられてホームレス同然の生活をしている人たち。。。すでにフィリピン邦人社会では大きな問題になっているそうです。そしてこの本の著者も、タイ女性と一緒にいたいがためにタイに長期滞在をしていた経験があるそうです。

女性目的でタイ移住!?

歓楽街タニヤ 出典:kozosushi
歓楽街タニヤ 出典:kozosushi

私自身は「女性を追いかけて」タイに移住してきたという人は知りませんが、別の理由でタイで単身で暮らす年配の男性を数人知っています。それぞれ理由は異なりますが、共通しているのは「年金受給年齢」「男性」「物価の安いタイで悠々自適生活を夢見てきた」ということでしょうか。この本はその人たちの将来(5年後、10年後)を心配させるような内容でもありました。

Aさんの場合

持病があれば薬代もばかになりません。
持病があれば薬代もばかになりません。

Aさんは私の父と同じくらいの年齢で、未婚・子なし・身寄りもなく、日本にあるビジネスからの収入数万円/月で暮らしているそうです。知り合った当時は大卒の初任給が1万バーツほど、これよりは多い金額でしたので生活できないことはないですが、あまり贅沢はできない金額。

タイ語学校に通ったものの3ヶ月で辞めてしまい、ほとんどタイ語を話すこともできず、もちろん読み書きもできない。仕事もしていないし友達もいないからタイ語の上達も望めない。タイ料理も毎日3食食べ続けるのは飽きるから、と自炊。毎日自宅で何をするでもなく、ネットサーフィンをしたりして日がな暮らしているとのことでした。

何度か自宅に招かれて食事をごちそうになりましたが、いつも話すのは節約生活をしていることや、友達がいないという話。あるときは病院の治療費の話になりました。タイ語も英語もできないのでローカルのクリニックに行くわけにも行かず、日本語通訳のいるような私立病院は高いため、病院になかなかいけない、と。。。だから健康でいなくては、とよく話していました。

数年後、Aさんはもう少し家賃の安いところへと引っ越していきました。近所なので時々見かけますが、歯が悪くなってしまった以外は(今のところ)お元気そうなのがなにより。ただ、数年前に「リタイヤメントビザの更新をエージェントに依頼してるのだが、その費用を支払うのがきつくなってきた」とおっしゃっていたので、きちんとビザを取得しているのか心配なところ。他国へ出てビザを取得するにしても費用はかかるし、たぶん体力的にもしんどいでしょう。

Bさんの場合

おっさんは何をしにタイへ?
何しにタイへ?

Bさんは定年退職を機にタイで事業を起こそうとやってきました。退職と同時に離婚をし(退職金は奥さんへ)、スーツケースひとつ、パソコンひとつで渡タイ。どのようなビザで入国したのか、事業をおこすにあたってのタイ人パートナーがいるのか、資本金や事業登録に必要な法律のことを知っているのかどうかは非常に怪しい。「この事業はこれから伸びるといわれまして」と話していたので、誰かに聞いた話を頼りにやってきたのでしょう。

何度か見かけましたが、スーツを着ているでもなく、果たして事業を興すことはできたのかどうかも不明。しばらくするとタイ人女性が出入りするようになり、気づくとタイ人男性も出入りしていて、Bさんの姿を見ることはなくなりました。あのタイ人男女がビジネスパートナーで、無事に事業を興して暮らしているといいのですが…。

「年金もらってタイで悠々自適」はすでに現実的ではない

「タイなら物価が安いから年金で悠々自適」などという言葉に夢見て渡タイする年配男性も多いようですが、安いのは屋台で食べる食事だけ。最近は物価もあがり、日本とさほど変わらなくなってきているものも多いです。さらに健康を害した場合、また介護が必要となった場合、介護事業・介護制度の整っていないタイでは日本のような介護生活を期待するのは難しいでしょう。

歳をとれば健康にかかるコストは増えていきます。そうなる前に言葉を覚え、行きつけのローカルクリニックでもあれば別かもしれませんが、日本語通訳のいるような私立病院で快適に・満足できる医療を受けるには年金だけでは不十分です。他国に比べて取得しやすかったリタイヤメントビザの取得要件も年々厳しくなっているようですし、「年金もらってタイで悠々自適」とは簡単にいかなくなっている、というのが現状です。

「今更日本に帰ってどうするの ?住むところも車も処分してきて、なにも残ってないよ。タイにいるしかないんだよ」

以前、Aさんが私に言った言葉です。気持ちはわからないでもありませんが、タイは(フィリピンも)姥捨て山ではありません。しっかりとした将来設計(老後計画)を持たないと、「暖かい国でのんびりサバイサバイ」というわけにはいかないのが現実です。

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