地元紙は、チャトゥモンコン労相が9月25日、「最低賃金の引き上げ案を来年2月の閣議に提案するよう準備しています」と明かしたことを伝えました。
「国民国家の力党」の公約
現在、タイの最低賃金は1日当たり308~330バーツです。具体的な提案額は記されていませんが、政権の中心党である「国民国家の力党」の公約には最低賃金を400~425バーツに引き上げると明記されています。
さすがに、前述の金額になるとは思えませんが、製造大国であるタイは労働者の賃金上昇がそのままコストに跳ね返るだけに、経営側からすれば容易に承諾はできないでしょう。今後、労働省と経済団体の話し合いや議論が活発化することは必至ですね。
タイの経済成長率は鈍化?
同日、アジア開発銀行は2019年版の「アジア経済見通し」修正版を発表。続く米中貿易摩擦の影響で、タイの経済成長率は鈍化するだろうと示しました。当然、同相も「最低賃金引き上げは難しい課題であり、経済情勢を見ながら、雇用主と従業員双方の意見などをしっかりと把握した上で時間をかけて決めていく」とも話しています。
同引き上げは、タイに進出する多くの日系企業にとっては最重要問題の一つであり、政府動向を注視していきたいですね。