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タイのスタジアムを行く〜チョンブリー県/チョンブリー・スタジアム(後編)

日が沈みつつある淡い紺色の空の下、白い光を放つ照明灯に照らされたスタジアムでは選手たちがウォーミングアップを開始していた。

熱狂的なサポーターたちが、すでにゴール裏を埋め始めている。

チョンブリーFCには、日本人選手・櫛田一斗が所属している。のみならず、コーチには元日本代表GKコーチの加藤好男がおり、監督は日本での選手、指導者歴があって流暢な日本語を話すヴィタヤ・ラオハルク。さらにはフロント、スタッフにも日本人がいるなど「日本色」の濃いチームだけあって、スタンドにも日の丸が揺れる。

メンバー紹介にスタジアムが沸いたあと、選手たちが入場し整列が終わると、スタジアムの大型スクリーンにはタイ王国プミポン国王の映像が映し出される。

国王を讃える歌と映像の流れる間、選手、観衆、スタジアムにいる全ての人々が、直立してスクリーンを向く。タイリーグでは全ての試合前に見られるお馴染みの光景。

収容8,500人の小ぶりなスタジアムを、超満員の観衆が埋め尽くす。試合開始直後にはアウェイサポーター席の後方で爆発音が響き、炎と煙が立ち上ってスタジアムの熱狂を煽った。

とっぷりと日が暮れ、照明灯の白い光がより一層眩しく映る。この日、チョンブリーFCのゴールネットは四度揺らされ、その度、スタジアムは静まり返った。試合終了を待たずして出口へと向かうサポーターたちの人の流れが、スタジアムを寂しげな空気でひたしていった。

試合後、スタジアムの外に出るとサポーターたちが、たった今スタジアムで起きたことを忘れようとでもするように、ステージ上でバンドが奏でる音に身をゆだねていた。

試合終了は21時。通常よりもやや遅めの試合時間ではあったのだが、それほど遠方でもないだけに、なんらかの手段でバンコクへは帰れるだろうと高をくくっていた。だが、スタジアム前で運よくバイクタクシーに遭遇し「セントラル・チョンブリー」まで出ることはできたものの、そこへやってきたロットゥーに尋ねるとこう返ってきた。

「もう、バスもロットゥーも、バンコク行きは終わったよ」

他にバンコクへ戻る方法は何かないか、と食らいつくと、「バンナーまでなら、ソンテオがある」という。バンコク行きのソンテオ? 何かの間違いじゃないだろうかと疑りながらも、すでに乗客のいないそのロットゥーでソンテオ乗り場まで連れて行ってもらう。

まさか、50キロを越える道のりを走破するソンテオがあるとは…。BTSバンナー駅付近まで60バーツ。道路の陥没に何度も驚かされながら、少しずつスタジアムを遠ざかった。

(了)

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