チョンブリー・スタジアムのあるチョンブリー県はバンコクから南東へ約80キロ、観光地として有名なパタヤとのちょうど中間地点に位置する。バンコクの中心部からチョンブリー県へと向かうバスは、BTSエカマイ駅を降りてすぐ、バンコク東バスターミナルから出ている。
時間に追われる様子もなくのんびりとバスを待つ人々と、横になって寝る犬。いかにもタイらしいゆっくりと時間の流れる景色の中へ、キックオフの時間を少し気にしながら足早に駆け込む。
チケット窓口へ向かうと、30分置きに出ているチョンブリー行きのバスがまもなく発車するところだった。片道、わずか76バーツ。
チケット窓口の並びを奥に抜けると、まもなく発車するはずのチョンブリー行きのバスがすぐに目に入ってくる。ほぼ定刻の出発、チョンブリーまでは1時間半の道のりだ。
終点のバスターミナルまで行かず、比較的スタジアムに近い大型デパート「セントラル・チョンブリー」で降りるつもりが、乗り過ごしてしまう。気がつくと乗客は皆バスを降り、終点のようだった。仕方なくバスを降りたが、周囲を見渡してもバスターミナルは目に入らない。
スタジアムとの位置関係が分からず、一瞬不安がよぎったが、近くに待機していたバイクタクシーに尋ねるとスタジアムまでは50バーツだという。どうやら、それほど遠くはないようだ。
だが、運賃から想像したよりスタジアムまでの道のりは長かった。こんなに遠いのか?とちょっと心配になり始めた頃、チョンブリーFCのユニフォームを着てバイクにまたがるサポーターの姿が現れ出す。15分ほど走っただろうか、ようやくチョンブリー・スタジアムの入口に辿りついた。
チョンブリー・スタジアムを本拠とするのは、タイリーグ屈指の名門・チョンブリーFC。
「タイのサッカー王国」とも呼ばれるチョンブリー県だけに、もともとサッカー熱は高い土地柄。チョンブリーFCのライトブルーのユニフォームを身に纏ったサポーターたちがスタジアムの周りに溢れている。
それぞれに思い思いの時間を過ごしながら、約30分後に迫ったキックオフの時を待っていた。
(後編につづく)